2025/6/30

「お金がない」の語尾につけるだけで 心が軽くなる魔法の言葉… 102歳のおばあちゃんの知恵袋

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「お金がない」の語尾につけるだけで

心が軽くなる魔法の言葉…

102歳のおばあちゃんの知恵袋

 
 

尾道市で畑仕事をしながら一人で暮らす

哲代おばあちゃんは102歳。

 

「中国新聞」に密着記事が連載されると、

「こんなかわいいおばあちゃんになりたい!」

と注目度が一気に急上昇した。

 

自分らしくゴキゲンに老いるためのヒントとは。

 

 

ふさぐ日はあるが

嘆いてもしょうがない


自分を励ます名人になって

心をご機嫌に

 
 

はじめまして。

ただいま102歳、石井哲代と申します。

 

100歳なんて、

子どもの頃はおとぎ話に出てくる

おばあさんのことだと思っていたのに、

自分がその年を超えたということに驚いております。

朝から畑に出てしっかり体を動かして、

お昼をいただいてからくーっと一眠りします。

 

昼寝から覚めたときは本当に気持ちいいです。

 

一人暮らしですけえな。

誰にも気兼ねせず、のんきなものです。

 

夜、眠れますかとよう聞かれますが、

心配には及びません。

床に就けばストン、グーなんでございます。

 

 

広島県尾道市の山あいの町で暮らしています。

26歳で嫁いで参りました。

 

家の田んぼを手伝いながら、

56歳まで小学校の先生をしておりました。

 

子どもは授かりませんでしたので、

20年前に夫が亡くなってからは

ずーっと一人暮らしです。

 

小さな畑の守りをしながら、

ご近所さんとのおしゃべりに

精を出す日々でございます。

 

 

そんな毎日が、
 
ちいとせわしなくなったのは
 
100歳になってから。
 
 
 
地元の中国新聞で、
 
私の日常が連載記事で
 
紹介されるようになりました。
 
 
 
畑の大根がええ出来じゃとか、
 
 
正月に雑煮の餅を3個食べたとか、
 
まあ何でもないことばかり書いてるんでございます。
 
それが感想や励ましのお手紙が
 
たくさん届くようになって。
 
そりゃあうれしかったんです。
 
 

そうしたらさらに驚くことに、

本にしてくださるというんです。

 

わおー、わおーでございます。

 

天に昇るというか、降りるというか。

この年で生きとるだけでも幸せなのに、

まあどうしましょう。

 

 

老いるとできないことは増えるし、

心がふさぐ日もあります。

 

でもね、嘆いてもしょうがない。

 

私は自分を励ます名人になって、

心をご機嫌にしておくんです。

人を変えることはできませんが、

 

自分のことは操作できますけえな。

そんなおばあさんのひとり言を

集めたような本でございます。

 

あの世で夫も大笑いして

読んでくれとることでしょう。

 

わおわお!さらにさらに驚くことが起きました。

 

2021年3月15日、

尾道市の教育委員会が開催した

「100歳を生きる智恵」講演会の

講師に招かれたのです。

 

 

控室では少しドキドキしましたが、

いざ本番になると緊張も吹き飛びました。

 

 

講演は「瀬戸の花嫁」の大合唱でスタート。

 

「皆さん、大きい声で歌うてくれますか」と声をかけ、

大きな紙に書いた歌詞カードを掲げ、

大正琴で伴奏しました。

 

 

それにしても、

講演なんてえらそげですな。

 

えっちらおっちら生きとるおばあさんの

ありのまんまをお話しするだけです。

 

どうすりゃあ毎日自分を楽しませながら

上手に生きていけるか。

 

それしかありません。

講演でも少しお話しさせてもろうたのは

次の5つのことです。

 

 

「こうして100年生きてきました」


毎日が楽しくなる5つの法則

 
 

1・物事は表裏一体。良いほうに考える

 

物事には必ず表と裏があります。

ほら、おばあさんの手を見てごらんなさい。

手の甲はしわしわですが、

ひっくり返せばつるつるです。

一方向から見るだけでは分かりません。

 

例えば受験に失敗して

本命じゃない学校に行ったとしても、

そこで生涯の友に出会えるかもしれんでしょう。

 

失敗もひっくり返して、

良いほうに考えるんです。

 

失敗にとらわれてばかりじゃ劣等感に

包まれて人生が曲がってしまう。

 

人間がこもう(小さく)なってしまいます。

失敗は通過点で、いくらでもやり直せる。

あれは成功じゃったと思える日がきっときます。

 

 

2・喜びの表現は大きく

 

うれしいな、

ありがとうという気持ちを相手に伝えようと思えば

自然にオーバーアクションになります。

 

普段、

姪の直ちゃんがおかずを差し入れてくれたり、

ご近所さんがお掃除を手伝って

くれたりすることも多いんです。

 

一人の寂しさを知ってるからでしょうかなあ。

 

本当にありがたい。

 

いつも「わおわお」って大喜びしています。

 

年寄りが機嫌を悪うして

怒りっぽくなるのはいけんと思います。

 

年寄りは若い人の見本にならんといけん。

 

ああ、

老いても楽しそうだなあって

思ってもらえるよう、

にこやかに。

 

社会のムードメーカーっていうんでしょうか。

 

同じ一生じゃから縮こまったりうつむいたりせず、

伸びやかに過ごしたいです。

 

 

書影『102歳、一人暮らし。哲代おばあちゃんの心も体もさびない生き方』
石井哲代

 

 

3・人をよく見て知ろうとする

 

教師時代、

小学5年生の担任をしていた時、

算数の時間になると落ち着きがなくなる

男の子がおったの。

 

 

様子を見ていたらどうも

九九でつまずいてることに気付いてね。

 

「九九が分からんのじゃね」って声を掛けたら、

その子が泣きだしたん。

 

情けない気持ちと、

助かったっていう思いが

入り交じったような泣き顔で。

 

その子に九九を教えると夢中で

勉強するようになりました。

うれしかったなあ。

 

 

相手のことを知ろうとする、

観察するいうのは

教師時代からの癖ですかなあ。

 

 

元気ないなとか、

少し痩せちゃったかねとか、

ちょっとした変化に気付くことは

大人同士のつきあいでも

大事なことじゃと思います。

 

声掛けの内容によって相手の反応も変わる。

 

この人、

私のことをよう見てくれてるなあと思うたら、

安心して自分をさらけ

出してくれるようになるんです。

 

4・マイナス感情 笑いに変換

 

食べるものが「ない」とか、

お金が「ない」とか

否定の言葉を使う時、

 

語尾に「ナイチンゲール」を付けます。

 

「お金がナイチンゲールでございます」

ってな感じです。

 

そうしたら皆さん、クスッと笑うてくれる。

 

同じ「ない」でも笑いに変えると

気持ちがええの。

 

「ないない」ばかりじゃ気分が沈むから

言いたくないんです。

 

心の落ち込みは魔物です。

 

落ち込みそうになったら早めに

自分を助けてあげんといけんのです。

 

 

5・手本になる先輩を見つける

 

知らず知らずのうちに、

しゅうとめさんのまねをしている自分がおります。

 

暇を見つけては庭や畑の草を取り、

いつもきれいにしとっちゃった。

 

毎晩、

仏さんに大きな声でお経をあげるのも、

しゅうとめさんから引き継いだことです。

 

 

26歳でお嫁にきました。

その頃、

しゅうとめさんは薪を背負って

町へ売りに出よっちゃった。

 

売ったお金で、

まだ珍しかったソーセージを買うてきてくれてね。

 

学校勤めをする私ら夫婦の弁当のおかずにって。

陽気で働き者のところも、

ちょっとした心遣いも、

いつもやってみせてくれました。

 

皆さんも、

手本になるような先輩を探してみたらええです。

まねをしながら、

体に染み込ませていけたらもうけものです。

 

 

 

<参考:石井哲代