ニュースレター

2019年 10月 22日発行
地球環境は今・・・ヨーロッパにおける海洋汚染対策


近年、海洋汚染が進行している。

なかでもマイクロプラスチックを巡る問題は深刻であり、
世界各地の海に潜む生き物の体内から微小プラスチックが
検出されている。

日本国内でも今年8月、母乳しか飲まないシロナガスクジラの赤ちゃんの胃から
プラスチック片が検出され、メディアにより大々的に取り上げられた。

これを受け、プラスチックにより海洋環境への影響を緩和しようと、
ファーストフード店などで使用されるプラスチック製ストローの廃止に向けた
キャンペーンが世界レベルで繰り広げられている。


海洋汚染を促す原因物質であるマイクロプラスチックはタイヤや布にも
含まれる。

そこで、英国のプリマス大学の国際海洋ゴミ研究ユニットは
英国政府からの助成のもと、

タイヤや布の海洋環境への影響を数値化する研究プロジェクトを
立ち上げた。

タイヤ、合成繊維、(プリエステル)、漁具、(ネット、ロープ、網)に
含有されるマイクロプラスチックが海水に入り込む過程を検証する
ためだ。

研究を率いるリチャード・トンプソン教授が大量の合成繊維や布を調べた結果、
以下の結果を導き出した。

タイヤと道路との摩擦を通じて年間27万トンのプラスチックごみが生み出され、
アクリル製の布を1回洗うだけで70万トンのマイクロファイバーが生じる、
やがて、それらのごみは海に漂着する。


海洋に入り込んだマイクロプラスチックは実に多種多様である。

ノルウェーやスウェーデンの研究者が最近提出した研究報告でも
明らかになっているように、タイヤの粒子や、タイヤと道路の摩擦の
結果生じるデブリはごく一部に過ぎない。

そこで、合成繊維由来のマイクロプラスチックを新たにリストアップし、
マイクロプラスチックの多様な発生源を かい括的に取り 纏(まと)めた。

英国は海洋環境分野において比較的先進国である。
今後、産官の連携を強化し、海洋環境への人間活動の影響を数値化。

海洋環境へのマイクロプラスチック粒子の流入阻止に有効な施策を
打ち出す方針である。


隣国ノルウェーでも海洋環境保護への関心は高い。

ノルウェー科学技術大学の研究グループでは、汚染源を特定するための
研究プロジェクトを発動中だ。

海洋汚染に関わるもう一つの見逃せない問題が富栄養化であるが、
同大学では詳細モデル「MRIO」を用いて富栄養化の原因を特定中である。

ちなみに、「MRIO」とは消費由来の汚染に特化して算出するモデルである。


富栄養化とは、生物の成長に好都合な条件が揃った結果、
植物プラクトンが大量発生する現象を指す。

海洋や河川において富栄養化が進行すると、光合成が行われない
夜間には酸素の供給が追いつかず、水中が酸欠状態となる。

また、異常発生した植物プラクトンが死滅すると、酸化的分解が進み、
水中の酸素濃度が低下。

生き物にとって住みずらい環境が形成され、生き物の大量死を招くことになる。


ノルウェー科学技術大学によると、

海洋汚染に関して言えば、食品以外の要因を無視して、富栄養化の実態を
完全に掴むことは困難であるという。

例えば2010年に発生した富栄養化について、
その原因の3分の1以上が非食品で説明がつくという。

2000年と比べると、富栄養化の原因物質が28%増加していることになる。

そこで、同大学の産業生態学プログラムの博士研究員であるヘレン・ハミルトン氏は
衣類や家具といった一般家庭で使用される製品を視野に入れるべきと説明した。

国全体が豊かになり、ゆうふくなひと裕福な人が増えると、人々は供給プロセスにおいて
農業依存度の高い製品(衣類、家具、など)への出費に拍車がかかるようになる。

これらの製品が消費者の手元に届けられるまでのプロセスは複雑化しており、
複数の国々に供給拠点を抱えているため、

汚染対策に関して言えば一筋縄にいかないのが現状である。

窒素、リン、ししてカリウム、これらは植物の成長に必要不可欠な
科学的成分であり、

植物の成長促進剤として作用する肥料に含まれている。

ところが、大量の肥料が水城に入り込むと、富栄養化が進み、
プランクトンが異常発生する。

さて、衣類の製造プロセスに関する話に戻るとする。

農家は衣類に必要な綿やリネンを育てる。
この時、海洋汚染の原因物質が大量に放出される。

一方で、工場の維持に電気やエネルギーが消費されていることを忘れてはならない
源である。

工場からは二酸化窒素が放出されており、工場からの二酸化窒素は
やがて大気中を循環し、海洋に吸収される。

製品の供給プロセスにおいて窒素やリンなどがどの程度放出され、
富栄養化にどれほどの影響を及ぼすのかを明確にしておくことは、

環境政策の決定の面で重要な意味を持つ。

産官連携のもとでの今後の対応に注目していきましょう。




<参考:BeOneECO>




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