脱プラスチックへ向けて
海には朝の踏み場もないほどに無数のプラスチック系
ゴミが散乱している。
地球に住む我々人間は毎年254兆トンにも及ぶゴミを
排出しているが、
そのうちペットボトルやレジ袋を含むプラスチック系ゴミは
5兆トンを占めている。
市街地に溢れかえったゴミが風雨と共に水路へと入り込み、
その一部が海に漂着した結果が今日の惨状である。
ウミガメをはじめとする海の生き物たちが海中のプラスチックゴミを
誤飲し、死に至るケースは後を絶たない。
例えばインドネシアはプラスチックによる海洋汚染が
深刻な国の一つであり、
沖合に生息するオニイトマキエイやジンベイザメが
海洋汚染の犠牲となっている。
西オーストラリア大学の研究グループは2016年1月から
2018年2月までの2年間、
オニイトマキエイやジンベイザメの餌場であるインドネシア
中南部の海岸線において現地調査を実施。
オニイトマキエイやジンベイザメが口をパクパクさせながら
海の中で魚を補足する様子を観察しながら、目の細かな
網を引く。
網にかかったプラスチック片の量から、
オニイトマキエイやジンベイザメが餌を摂取すると同時に
体内に入り込むプラスチックの量を算出した。
オニイトマキエイやジンベイザメの体内へのプラスチック片の
流入量については、雨季と乾季とでは異なる。
乾季には1時間に4個、一方雨季においては1時間に
63個のスピードでプラスチック片を摂食しているという
衝撃の結果が今回の現地調査を通じて明らかとなった。
西オーストラリア大学の研究グループが実施したこの
研究内容の詳細については、
2019年11月19日、科学雑誌「Frontiers in Msrine Science」
の電子版に公開された。
冒頭でも触れた通り、インドネシアは中国に次ぐ海洋汚染国
である。
インドネシア、東ティモール、パプアニューギニア、ソロモン諸島、
フィリピン、マレーシアにいたる海域はコーラルトライアングルと
呼ばれ、そこには500種以上のサンゴと2500種以上の
魚が共存し合いながら生息している。
そこで、オランダの非営利組織オーシャン・クリーンナップは
河川から海へ流入する直前にプラスチック片を拾い上げる
自動収集装置「インセプター」を開発。
多様な海洋生物を廃プラスチックの脅威から守るべく、
インドネシア沖の海域にて活動を続けている。
ちなみに、このインセプターはソラーパネルを搭載しており、
地球にやさしい仕様となっている。
同社発表によると、1日5万㎏、好条件化においては
最大で10万㎏のプラスチック系ゴミを検出可能であるという。
海洋汚染をもたらす最大の原因は河川にあり、河川から
海へのプラスチック片の流入を阻止することで海洋汚染の
進行を抑えようというのがオーシャン・クリーンナップの
狙いである。
同社の調査によると、世界各国を流れる1000本の河川が
海洋汚染の8割に影響をもたらしているという。
日本国内でも多摩川や荒川の河口で10~20㎏の
プラスチック片が検出されている。
「よって、河口でプラスチック片の流入を阻止することが、
海洋汚染問題の解決の突破口となり得るはずだ」、
同社はこう考えている。
脱プラスチックのための手っ取り早い手段と言えば、
やはり海に廃棄される大量の使い捨てプラスチックを
再利用したり、あるいはプラスチックに対する代替材料を
見出したりすることである。
日本国内では2020年7月以降のレジ袋の完全有料化に
向けて動き出しているが、既存のレジ袋に代わるアイテム
として、再生可能な資源であり、なおかつ日本に潤沢にある
木を原料とする紙袋に熱い視線が注がれている。
さらに現在、世界中でコロナウイルスによる感染が
拡大し、マスク不足に陥る中で、南カルフォルニアの
スキューバーダイビング関連企業PADIは環境関連企業Rash,R
と共同で海洋のプラスチックゴミを主原料とする布マスクを
制作した。
同社は布マスクを販売済みだが、これまでの布マスクの
製作において約550㎏のプラスチック系ゴミが費やされて
いるという。
今後日本国内でも脱プラスチックへとかじ取りがなされる
なかで、廃プラスチックを活用した製品への関心が
ますます高まることが予想される。
引き続き、動向を追っていきたいと思います。
1喧嘩はするな、
2意地悪はするな、
3過去をくよくよするな、
4先を見通して暮らせよ、
5困っている人を助けよ、