2020年10月、菅総理は政権発足ご初の
臨時国会において、
「2050年までに温室効果ガスをゼロにする」
という決意を露にした。
前政権では温暖化に対して消極的であっただけに、
菅総理による所信表明演説は一躍注目を集める
こととなった。
菅総理自身、
温室効果ガスを実質的にゼロという
目標に向けた取り組みが今後の
日本の経済成長に繋がり得ると
考えており、
所信表明演説を行ったその日、
G20サミットにもオンラインで参加。
脱炭素社会の実現に向けた舵取りを
担うべく各国の首脳と協議した。
菅総理による所信表明は海外でも波紋を呼んだ。
欧州連合(EU)は日本に追随し、
2050年までに温室効果ガスの
排出量を実質ゼロにするという目標を
盛り込んだ「欧州気候法案」を発表。
EUは2030年を目途に温室効果ガスの
排出量を1990年比で40%減から
50%~55%減へと引き上げる方針を示しました。
さらに、ロシアのプーチン大統領は11月4日、
パリ協定に課された義務を履行すべく、
2030年までに温室効果ガス排出量を
1990年比で70%削減するという目標を
盛り込んだ温室効果ガス排出量削減に
関する大統領令に署名。
ロシアでは地球温暖化の影響で永久凍土が
融解し始めるという異例の事態が観測される中で、
気候変動への対応が急務とされていた。
ロシア大統領による気候変動の方針が確認された
直後には、
未来の公共建築デザインの可能性を
模索するフェントレス国際チャレンジの
2020年受賞作に、
温室効果ガス排出ゼロを実現する
マルチモーダルハブ「グリーンゲートウエイ」が
選出された。
2020年のテーマは
「航空の未来と2100年の空港ターミナルデザイン」。
企画を募集したところ、
世界75ヶ国から何千件を超える
エントリーが殺到した。
「グリーンゲートウエイ」とは
2011年、
公共建築デザインを専攻する学生主体のグループに
より発足したプロジェクトである。
そして今回、
インドを代表とするインディラ・ガンディー国際空港を、
近年話題の空飛ぶ車を駐留させると共に、
空気の浄化機能を備えた接続可能かつ
文化的感受性の高い場所へと変えるという
アイディアが受け入れられるに至った。
今回の受賞に際し「グリーンゲートウエイ」の
開発費用の一部として1万5009ドル(約150万円)を
受け取っている。
インディラ・ガーデン国際空港のプロジェクトに関与する
学生らは、
飛ぶ車が行き交う2100年を備えた6ヶ所のタワーを
総括するハブとして再設計し、
主要な汚染源のひとつである国内線を見直すことで、
マクロかつミクロレベルで温室効果ガス排出量の
ゼロを実現可能であると見込んでいる。
さらに、民間部門でも温室効果ガス排出量ゼロに
根差したゼロミッション案を掲げる企業は少なくない。
シカゴに拠点を置く建築事務所
「ロスバーニー・アーキテック」は、
ファーストフードチェーン大手の
マクドナルド、ウォルト、ディズニー社と
提携し、
フロリダ州にある世界最大のディズニー・リゾート
「ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート」内に
ネット・ゼロエネルギーを実現するマクドナルドの
お店をオープンしたと同社のホームページ上で発表。
ソーラーパネルで屋根を覆ったり、建物一面に
ソーラーガラスパネルを施したりといった構造上の
特徴は、
ある意味で昨今のコロナ禍を
想定したものであるかもしれない。
そこでは必要な量のエネルギーを生成すると共に、
100%再生可能な電気のみで稼働する仕組みにと
なっており、まさに、ネットゼロ・ビルディングです。
2050年の今日、
果たして「温室効果ガス実質ゼロ」という
目標を達成できているかどうかは誰も分からない。
ただ企業の地道な努力が実を結ぶことを
期待するのみです。
ネット・ゼロ・エネルギー
オフィスビルや住宅で電力と熱を作り、
それと同じ量だけを消費する考え方。
省エネ機器の導入や耐熱対策に加えて、
太陽光や地熱などの自然エネルギーを
取る入れる。
政府が補助金制度を設けて促進している。
1喧嘩はするな、
2意地悪はするな、
3過去をくよくよするな、
4先を見通して暮らせよ、
5困っている人を助けよ、