2023/4/28
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約38億年前に誕生した地球の生命 |
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地球上の生命は約38億年前に 誕生したといわれており、 原始の地球から一体どのように 生命が誕生したのかは大きな科学上の テーマとなっています。
チェコのプラハ・カレル大学や アメリカのジョンズ・ホプキンズ大学などの 研究チームが、
生命を形作るタンパク質が原始の地球で どのように合成されたのかを調べた研究で、 タンパク質の構成要素である約20種類のアミノ酸が なぜ選択されたのか、
アミノ酸の組み合わせがその後の生命に どのような影響を与えたのかという 謎の一端が明らかになりました。
全アミノ酸のうちタンパク質の構成要素 となるのは22種であり、 真核生物はそのうち21種、 ヒトを含む多くの動物は20種のアミノ酸で 構成されています。
アミノ酸を「文字」にたとえると、 タンパク質は文字を並び替えてできる「言葉」であり、 生命は言葉を組み合わせて 構成される「文章」と言うことができます。
人間からバクテリア、古細菌に至るまで、 共通する約20個のアミノ酸の組み合わせで 構成されています。
これらのアミノ酸は、 原始地球の大気や隕石(いんせき)の破片から 選ばれた10種の「初期アミノ酸」と、
その後に追加された10種の「後期アミノ酸」で 構成されていると考えられていますが、
天然に存在する500種類以上のアミノ酸から なぜ約20種のアミノ酸だけが選ばれたのかは不明です。
生物物理学者である スティーブン・フリード氏らの研究チームは、
生命誕生前の地球において 豊富だったさまざまなアミノ酸の組み合わせを 実験室内で再現し、 原始のタンパク質合成を模倣する実験を行いました。
古代の有機化合物はタンパク質の フォールディング(折り畳み)に最適なアミノ酸を選択して 組み込んだことが示されました。
タンパク質の形状とフォールディングは、 他の分子や周辺環境とどのように 相互作用するのかを決定するため、
タンパク質の機能にとって非常に重要です。
研究チームは、 特に後から追加された10種類の 「後期アミノ酸」が、
タンパク質の機能を果たす上で優れていたために 構成要素として選択されたと考えています。
「つまり、タンパク質合成の段階で 進化や自然淘汰(とうた)が進んでいたと言うことができます。
最も入手しやすいアミノ酸が選ばれたのではなく、 特定の仕事に最も適したアミノ酸が 選ばれたのです」と述べています。
「ダーウィン的な進化を遂げるには、 DNAやRNAといった遺伝分子をタンパク質に変える 洗練された方法が必要です。
しかし、 DNAを複製するにもタンパク質が必要であり、 鶏が先か卵が先かの問題があります。
私たちの研究は、 ダーウィン的な進化の以前に、
自然が有用な性質を持つ構成要素を 選択できたことを明らかにしています」
「基本的に、タンパク質のフォールディングは 地球上に生命が存在する前から、 生命の進化を可能にしていました。
生物学ができる前から進化が可能であり、 DNAができる前から生命に有用な化学物質の 自然淘汰ができたのです」とコメントしました。
地球上における生命の起源だけでなく、
他の惑星に存在する生物の可能性 についても示唆するものです。
フリード氏は、「宇宙はアミノ酸が大好きなようです。
もしかしたら、 違う惑星で生命を見つけたとしても、 地球上のものとそれほど違いは ないかもしれません」と述べました。
<参考:> |
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