2023/8/28
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寝ている時に足がつる「こむら返り」はなぜ起こる? |
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寝ている時に足がつる「こむら返り」はなぜ起こる?原因と応急処置・予防法を足の専門家が解説ふくらはぎの筋肉がつって激痛が走る「こむら返り」。
数分で治まるとはいえ、 寝ている時に突然足がつるあの痛みに 襲われるとたまらないもの。
どうしてこむら返りは起きるのか? なんとかして回避する方法はないのか? 足のプロに聞いてみた。
【図表】自宅で手軽にできる『こむら返り』予防の3ステップはこちら * * * 足がつる原因は水分やミネラル不足による血流の滞りと筋肉疲労・運動不足“ヤツ”は突然現れる。
しかも睡眠時という無防備で安らかなひとときに! ふくらはぎに激痛が走るが、 なすすべもなく痛みが去るのを ひたすら祈るしかない。
こむら返りの苦しみは 誰もが味わったことがあるでしょう。
専門医院「足のクリニック表参道」 (東京)の桑原靖院長が解説する。
「こむら返りは、何らかの原因で、 自分の意思とは関係なく筋肉が痙攣(けいれん)を 起こして収縮した状態を指します。
医学用語では『筋痙攣』と呼ばれます」
「こむら」とは古い言葉でふくらはぎのこと。
ふくらはぎに起きる筋痙攣をこむら返りと呼ぶが、 足先や手など、ふくらはぎ以外でも起きます。
「水分不足、血流不足、ミネラルバランスの崩れ、 体の冷えといった内科的な理由と、 筋肉量の低下、筋肉疲労、 運動不足など身体機能的な 理由があります」(桑原院長)
足がつった時の応急処置は「足先を体のほうに引っ張る」覚えておきたいのは、 今まさに痛みに襲われている時の応急処置法です。
同クリニックに勤める理学療法士の 久保和也さんが教えてくれた。
「痛みが発生している時は 筋肉が縮こまった状態なので、 これを伸ばせば治まります。
痙攣しているほうの足を伸ばして、 指先を体のほうに向けるのです。
手で指先を持って引っ張ったり、 タオルをつま先にひっかけて 引っ張ったりすると効果的ですが、 寝ている時は難しいと思います。
その時は足の指先を体のほうに 向けるだけでもかまいません」
大量に汗をかく夏は「こむら返し」が起きやすいこむら返りは、 夏に起きる頻度が高いといわれています。
それは暑さで大量の汗をかき、 ナトリウムやカリウムが必要以上に 排出されやすいからです。
9月に入ったとはいえ、 まだまだ暑さは続く。
水分不足にも陥りやすいため、 こまめに水を飲むのも大切です。
逆に、冷えもこむら返りの原因になる。
血流が滞り、 筋肉がつりやすくなるからです。
偏平足は「こむら返し」になりやすい「意外と知られていないのですが、 足の機能が原因でふくらはぎに 負担がかかりすぎている場合もあります」(久保さん)
わかりやすいのは、 普段使わない筋肉をたくさん使った時です。
「普段運動しない人が急に走ったり、 いっぱい歩いたりした日の夜は つりやすくなります。 筋肉が過剰に働き、 緊張が高くなったからです」(同)
足を酷使したという原因がはっきりしていれば、 運動を控えたり、 少しずつ運動量を増やして 筋肉を慣らしていったりすればいい。
ほかの理由としては、 足の構造上の問題と、 お尻や腿(もも)の筋肉の弱さがあるという。
まずは足の構造から。
人間の足には三つのアーチがあります。
(1)足の内側縦方向にある土踏まず (2)外側縦方向の小さなアーチ (3)親指の付け根から小指の付け根に向けて 横方向にあるアーチだ。
足が弓なりになっていることで 全体重を支え、 地面の蹴り出しを支えるバネの役割や、 着地した時に衝撃を和らげる クッションの役割を果たす。
久保さんが説明する。 「扁平足が一番わかりやすいのですが、 このアーチ構造が潰れていると、 体の土台のバランスが崩れ、 さらに蹴り出すバネの力が弱くなります。
そして崩れた足の機能を補おうとして ふくらはぎの筋肉に負担がかかります」
久保さんによると、 この状態を「代償」といい、 放っておくと知らないうちにふくらはぎが パンパンになってしまうという。
足の筋力と柔らかさ (アーチ構造の強度)には相関関係があり、 筋力が強くても扁平足だと、 こむら返りが頻発しやすい。
「これが原因の場合、 インソールを使ってアーチをサポートすると、 ふくらはぎの負担軽減になります。
ただし、 インソールは視力を補うメガネのような役割で、 それを使っているからといって、 扁平足が治るわけではありません」
お尻と腿の筋肉を鍛えると「こむら返り」のリスク軽減お尻や腿の筋肉が弱いとどうなるのか。
股関節から足を外側に広げる時に使う中殿筋と、 足を後ろに引く時に使う大殿筋が弱いと、 立っている時のバランスが悪くなり、 歩く時も十分な蹴り出しができなくなるという。
「お尻の筋肉を補おうとして、 ふくらはぎに負担がかかるからです。
腿の筋力が弱い、 骨盤や股関節の機能が弱い人も同様です」
こむら返りの原因は複数あり、 複合的な要因で起きている場合もあります。
自己判断は難しいため、 頻発してなかなか改善しない場合は、 専門医の診察を受けたほうがいい。
とはいえ自宅でできる予防法もある。
まずはお尻の筋肉を鍛えるのが有効です。
お尻や腿の筋肉を鍛えることは、 こむら返りのリスク軽減だけでなく、 運動機能向上のために必要です。
予防法はどれも手軽にできるものなので、 ぜひ習慣化してほしいです。
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