2024/1/18
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ヤバいと思ったら、すぐ測れる… じつは「症状が出た直後の 心電図が重要な不整脈」 |
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ヤバいと思ったら、すぐ測れる…じつは「症状が出た直後の心電図が重要な不整脈」Apple Watchだったから救われた衝撃の事実Apple Watchに命を救われた日本人Apple Watchをはじめとするスマートウォッチは、 健康状態を把握するためのアプリを備えているなど、 健康維持に気をつけるうえでとても良い デバイスであることが知られている。
では、スマートウォッチによって、 我々の健康はどのように守られるのか?
その点は実際に体験した人に話を訊ねるのが近道だ。 Apple WatchのCMには、 1人の日本人が「命を救われた人の1人」 として登場している。
そのご本人である飯村将ひこさんと、 彼の主治医である、 幕張不整脈クリニックの濱義之院長に、 具体的にどのようなことがあったのか、 そして、 命を守るうえでどう役立っているのかを聞いた。
不整脈の発作を「つかまえる」飯村さんが“異常”を感じたのは、 運動中や、運動をした後だったという。
現在は50代の後半となった飯村さんは、 2010年頃から健康診断で「不整脈の疑いがある」 と診断されていた。
自覚症状はなかったものの、 運動をしているときに胸の「つまり」のような 感覚を覚えることがあったという。
飯村さんの趣味はサーフィンだ。
波の上に乗っている最中に「もしも」が起きたら、 大変なことになる。
「ただ、当時は特に対策できることがなかったんです」 飯村さんはそう話す。
不整脈の自覚症状が出るのは 数ヵ月に1回程度であり、 その間ずっと心電図計をつけ続けるのは難しい。
医師からも「24時間から数日間の貸出がせいぜいで、 発作を記録できないと病状の判断がつかない」 と言われていた。このような状況については、 今も事情が大きく変わっているわけではない。
そんななか、 2018年9月に 「Apple Watch Series 4」が発売された。 アップルはこの機種から、 電気心拍センサーを搭載し、 アプリによる心電図計測が可能になった。
ただし、 日本でこの機能が利用可能になったのは 2021年1月末以降のことである。
飯村さんは趣味のサーフィンで使うために、 2017年発売のApple Watch Series 3から 利用を開始していたが、 2018年当時は機器も揃っておらず、 日本で使える状況にはなかった。
だが、 「こうした状況なら、 心電図機能は有用なのではないか」 という考えから、 アメリカ版のApple Watch Series 4を入手し、 心電図機能を使い始めたという。
現在はもちろん、 日本で売られている製品でも 問題なく心電図機能を利用できる。
その後、 自覚症状をともなう異変が深刻さを増していった。 心拍が急に180から200ほどにまで上がったのだ。
「ひたすらデータを取り続けよう」この数値は、 激しい運動できわめて強い負荷が かかったときと同レベルであり、 普通には立っていられない状態になる。
それでも、 発作の頻度は年に数回であり、 わずかな時間継続するにすぎない。
そして、発作が収まると、 ウソのように元に戻ってしまう。
そこで、飯村さんはこう決めた。
「もうとにかく、ひたすらデータを取り続けよう」
飯村さんは、つねにApple Watchを身に着けている。
だから、たとえ発作で立てなくなったときでも、 Apple Watchを動かして 心電図測定をすることはできた。
「デジタルクラウン」とよばれる 竜頭型のボタンの上に指を起き、 30秒間じっとしているだけで計測できるからだ。
飯村さんに、ふだんしているように実際に 心電図を測ってもらった。こうした簡単な動作を、 発作を感じたらすぐにおこなうという ものの5分で診断結果がそのようにして蓄積した情報を手に、 不整脈治療のパートナーとなる医師を探した 末に見つけたのが濱院長だ。
幕張不整脈クリニックに飛び込み、 濱院長にApple Watchで 記録した心電図を見せると、 「ものの5分もしないうちに診断が出た」 と飯村さんは話す。
Apple Watchの心電図測定は、 腕を動かさずに30秒間待つ必要がある。
慌てていたりすると腕が動いてしまい、 正確な測定にならない場合もありうる。
じつは、 飯村さんもその点で多少苦労したようだ。
だが、 発作直後の情報をとにかく記録に残し、 自らの治療に活かそうとしたことが功を奏した。
データに残る「判定不能」。 この中に、濱院長が診断するうえで 重要な情報が隠れていた 飯村さんが残していたデータは300件。 そのうち200件は「洞調律」、 すなわち問題なしだった。 手ブレなどの影響で 「記録状態が良好でない」も多数あった。 だが、 残る14件の「判定不能」の中に、 医師にとって重要な情報が含まれていた。
診断の決め手濱院長も、「不整脈は、 症状が出た直後に 心電図がとれることが大事」と強調する。
一方で、いつでも計測できるように常時、 心電図計をつけていることは現実的ではなく、 発作を適時・的確にとらえるのが 難しいという課題がある。
だからこそ、 「患者さん自身がデータをもってきてくださることには 非常に大きな意味があります。
データさえあれば、 医師はそこからなんの苦もなく情報を読み取ります。
とにかく、 日頃から蓄積したデータを 提供していただけることが大事なのです」(濱院長)という。
飯村さんに下された病名は、 「上室性頻拍」だった。
「1回の手術で98%が治る」(濱院長)病気だが、 症状が明白に把握できるデータが あったことが診断の決め手になった。
飯村さんは手術後に完治し、 以降、発作を起こしていない。
加齢によって発生頻度の高まる病気Apple Watchに「心電図」アプリが搭載され、 心房細動の兆候をとらえられる 可能性が高まったことから、 近年はApple Watchでの情報を持ち込む 患者さんが「増えている」と濱院長は話す。
不整脈を専門とする医師のあいだで 話題になることも多く、 学会でテーマになる機会もあるという。
注意が必要なのは、 「心拍数の通知」と「心電図から読み取れる 心房細動の兆候」は別のものだ、という点だ。
多くの人は「高心拍数の通知が出たから」 という理由で診察に訪れるが、 心房細動についてはそれだけでは 診察に有用な情報とならない。
飯村さんと同じように 、発作時にすぐ心電図を記録し、 それを医師に見せる必要がある。
医師とのあいだで Apple Watchで得られた情報を共有し、 診断に活かすことが重要になってきている また、 スマートフォンとスマートウォッチで計測を 「習慣化」していくことで、 情報をしっかり記録し、 それを自分で管理する習慣も身につくようになっていく。 濱院長がこうした技術に期待を寄せるのには 理由がある。
心房細動の中には、 再発する可能性が高いものも含まれるからだ。
「心房細動は、 加齢によって発生することの多い病気です。
飯村さんが発症した上室性頻拍の場合、 術後の再発はまれですが、 それ以外のケースでは、手術した後の再発も多い。
そして、心房細動は血栓をつくり、 脳梗塞などの原因になります」(濱院長)
一日2回の心電図チェックをそのため、 心房細動が再発する可能性のある患者の場合、 血栓の発生を防ぐためにも、 ワーファリンをはじめとした抗凝固剤、 いわゆる「血液をサラサラにする薬」を 飲み続けることになる。だが、 この種の薬は逆に出血が止まりづらくなる という欠点もあるし、 そもそも服用が面倒にもなってくる。
だからといって、 「発作がないから治った」と勝手に判断して 薬の服用をやめると、 脳梗塞のリスクが高まってしまう。
濱院長は、 受診した患者さんの中でそうした管理が必要な人たちと、 LINEなどを通じたコミュニケーションを とっている。そのうえで、 「Apple Watchがあるなら、 一日1回、できれば2回、 心電図をチェックしてほしい」と伝えているという。
異常があれば心電図を送ってもらい、 濱院長側で病状を判断している。
「さらに、 患者さんの近くにいる循環科医の方と必ず 連携する体制をとっています。
手術をした後に抗凝固薬の服用を安全にやめ、 また、 適切なタイミングで再開できるように心がけています」(濱院長)
iPhoneの「ヘルスケア」アプリには、 服薬タイミングを通知する機能が備わっているし、 リマインダーを使えば心電図チェックの 時間を忘れないように通知することもできる。
IT機器を活かした習慣化とコミュニケーションの 円滑化で、 この病気に立ち向かっているわけだ。
「ITが苦手な高齢者」をどうするか1つ気になるのは、 こうした病気を発症するのが高齢者を中心としており、 そのような世代にはIT機器が苦手な人が まだまだ多い、という点だ。
飯村さんはIT関連企業に長年勤めており、 この種のことに強いという利点があった。
年代的にも、 こうした機器を問題なく扱える人は増えていく 傾向にあるとはいえ、 現状では、 どのように活用してもらうかという課題が存在している。
その点は当面、家族など周囲の人々の 協力でカバーしていくしかない。
だが、こうした機器やその活用方法が普及することで、 心房細動から救われる人が 確実に増えてくるのは間違いない。
着実に、 予防や早期発見の1つのかたちとして 定着していくだろう。
<参考:>
1喧嘩はするな、
あなたなら出来ます応援しています RupanPart-1 by サロンデイレクター
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