多くの不調や病気を招く自律神経の乱れ。

その要因として、

ストレスや睡眠不足がよく挙げられるが、

実は加齢も大きく関わっている。

 

毎日を楽しく生きるためには、

いかに自律神経を若くキープす…

 

多くの不調や病気を招く自律神経の乱れ。

その要因として、ストレスや睡眠不足がよく挙げられるが、

実は加齢も大きく関わっている。

毎日を楽しく生きるためには、

いかに自律神経を若くキープするかがカギを握る。

自律神経の老化を防ぐにはどうすればいいのか。

 

 
 

一番大切なのはどれ?

 
 

自律神経の老化を防いで、若々しくいるためには、

食事・睡眠・運動の3点が重要になります。

 

 

当たり前のことだと思う人もいるかもしれませんが、

では、この3つのうちどれがいちばん重要か、

答えることはできますか?

 

 

答えは「運動」です。なぜなら、

「動かない」は「食べられない」「眠れない」に

直結するからです。

 

 

とくに定年を迎えると、

運動量がガクッと減ります。

 

意識して動くようにしないと、

「今日も一日、一歩も外に出なかった」

なんて毎日を送ることになりかねません。

 

 

 動かなくなると、どんなことが起こるでしょうか?

 まず、お腹がすかなくなります。

 

 

ただでさえ年をとると基礎代謝が落ちるので、

必要とするカロリーは少なくなります。

 

そのうえ動かなかったら、

体が食事を必要としなくなるのは当然です。

 

 

年をとっていても、

体を動かしている人はたいていよく食べるものです。

 

冒険家でプロスキーヤーの三浦雄一郎さんは

お肉が大好きで、

1~2週間に一度は600~800グラムの

ステーキを食べるそうです。

 

 

2021年に亡くなられた、

小説家で尼僧の瀬戸内寂聴さんも、

亡くなる直前まで毎日のようにステーキを

食べていたといいます。

 

 

次に、眠れなくなります。

 

 

年をとると睡眠時間が短くなるといいますが、

どうしてだかおわかりでしょうか。

 

自律神経やホルモンの問題もありますが、

いちばん大きな理由は、

日中の活動量が低下するからです。

 

 

それでも、

規則正しい生活ができていればいいでしょう。

 

私も睡眠時間は短いほうで、

一日4時間くらいしか寝ていませんが、

寝る時間は12時、起きる時間は4時と決めています。

 

 

問題なのは、生活リズムが崩れることです。

 

夜になっても眠くならずに、

就寝時間が朝方になってしまったり、

翌日やることがなくて、

昼ごろまで寝てしまったり。

 

こうした生活を続けていると、

自律神経が乱れてしまいます。

 

 

若い人でも、ひきこもりと呼ばれる人は、

昼夜逆転している人が多いようですが、

日中、体を動かしていないことが大きな理由でしょう。

 

このように、「動かない」は「食べられない」

「眠れない」につながります。

 

「食べられない」「眠れない」とエネルギーがなくなり、

自律神経のコンディションも乱れて

「もっと動かない」へと進行します。

 

 

こうした負のループにおちいらないよう、

年を重ねた人ほど意識して動くことが重要です。

 

 

 

ジョギングよりも「ウォーキング」を

すすめる理由

 
 

では、どんな運動をしたらよいのでしょうか。

 

みなさんからよく聞かれる質問の一つです。

私は適度なウォーキングをおすすめしています。

 

毎日20~30分くらい、

近所をゆっくりマイペースで歩くだけでかまいません。

 

外の空気を吸うことでリラックスもできます。

 

何よりお金もかからないのですから、

やらない手はありません。

 

 

時間のない方には「ついでウォーキング」を

おすすめしています。

これは私もよくやる方法です。

 

 

たとえば、いつもより5分早く家を出て、

少し遠回りして駅まで歩いてみる。

 

帰りは最寄りの駅の一つ手前で降りて、

家まで歩いてみる。

 

通勤のついでにウォーキングをしてみるのです。

 

 

これなら、

わざわざスポーツウェアに着替えて、

スニーカーをはいて外に出るという

ひと手間がはぶけます。

 

いつもと違う道を歩くことで、

新たな発見もあるかもしれません。

 

 

あるいは、

ショッピングモールに買い物に行ったとき、

1階から最上階まで、

すみずみまで歩いてみるのも楽しいかもしれません。

 

「こんなお店があったんだ」といった

新しい発見がありますし、

雨や猛暑といった天候にも左右されません。

 

近年、郊外を中心に、

巨大なショッピングモールが次々とオープンしています。

ためしに足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

 

ウォーキングをする時間帯は、

できれば朝よりも夜がいいでしょう。

 

朝は交感神経が高まる時間帯なので、

血管が収縮し、筋肉が硬くなっています。

 

そのため、ケガをするリスクが高まります。

 

 

 

副交感神経が優位になる夕食後から、

寝る1時間前までの間にウォーキングをすることで、

全身の血流がよくなり、眠りの質の改善や、

肩こり、腰痛の軽減にもつながります。

 

 

歩き方は「ゆっくり」を意識して、

「1、2、1、2」と一定のリズムで

歩くことがポイントです。

 

 

苦しいとおっしゃる人がいますが、

明らかにオーバーペースです。

 

苦しくて続けられないのなら、

苦しくないペースで歩けばいいのです。

 

 

のんびり散歩しているような

感じになるかもしれませんが、

それでかまいません。

そのうち筋力も心肺機能も上がって、

少しずつ速く歩けるようになります。

 

 

呼吸も「ゆっくり」を意識するようにしてください。

 

ゆっくり呼吸をすれば、

自然と深い呼吸になります。

 

4秒かけて鼻から吸い、

8秒かけて口から吐くのがおすすめの呼吸法です。

 

 

 

「ジョギングはどうですか?」と

聞かれることもよくあります。

 

楽しんで走っている方には申し訳ありませんが、

私としてはあまりおすすめしていません。

 

 

もちろん、

長年、習慣的にジョギングをやってこられた方は

別ですが、ジョギングは運動量が多いため、

どうしても呼吸が速く、浅くなり、

副交感神経の働きが低下してしまうからです。

 

 

加齢で自律神経が乱れている方には、

下がりぎみの副交感神経の働きをさらに

下げてしまうジョギングよりも、

深い呼吸で血流をよくし、

体のすみずみまで酸素と栄養を

届けることができるウォーキングが

ぴったりなのです。