同じように才能があっても、

チャンスをつかんで成功し続ける人と

そうでない人がいる。

 

その差は、

「気づかい」にあるのかもしれない。

 

話題のロングセラー『気づかいの壁』の中には、

「気づかいの差」が「人生の差」を生むという話がある。

 

一つひとつは小さなことだが、

積み重ねることで大きな差が生まれるのは

間違いないだろう。

 

これまでおよそ200社、

2万人のビジネスパーソンに向けて

コミュニケーションスキル等の研修や

セミナーを行ってきた著者

川原礼子氏は、

サービスのプロではない一般のビジネスパーソンに

向けて「ちょうど良い気づかい」のコツを教えてくれている。

 

 

 

 

チャンスをつかみ続ける友人に

秘訣を聞いてみた

 
 

 筆者の友人のなかに、

「どんどんとチャンスをつかんでいくタイプ」

の人がいる。

 

 競争率の高い人気職種のキップを手に入れ、

良いポジションに次々と抜擢され、

さらに世界的企業に引き抜かれて

要職に就くことになった。

 

 

 なぜ彼はそれほど、

「抜擢される」のだろうか?

 

 

 仕事ができるのは当然として、

彼は「気づかい」がものすごかった。

 

職場のメンバーが働きやすいように、

元気が出るようにといつも声をかけ、

差し入れをしたり、

雑用を積極的に引き受けたりしていた。

 

 

 初対面の人にもちょうどいい

気づかいをするので、

あっという間にみんな彼のファンになってしまう。

 

そして、

「一緒に仕事をするなら彼がいい」

と思うのだろう。

 

 これまで2万人のビジネスパーソンに

研修やセミナーを行ってきた、

コミュニケーションスキルの研修講師である

川原礼子氏は、

気づかいができる人になれば

「『最後にチャンスを掴める』

『また次の仕事をお願いされる』

『なぜか運がいい』

という人生を送れる」と述べている。

 

 

たとえば、
 
あなたが取引先の会社から、
 
「職場から誰かもう1人を連れてきてよ」
 
と言われたときに、
 
誰を選ぶでしょうか。
 
 
 

すごい実績の人や経験豊かな人でしょうか。

でも、
 
失礼な発言をする可能性があったり、
 
デリカシーがなかったりする人だったら、
 
「あの人はちょっとやめとこうかな……」
 
と躊躇すると思います。
 

それなら、
 
「仕事を頑張っていて気が利く後輩」
 
を連れていったほうがいいですよね。
 

その差は、
 
日頃の「ちょっとしたこと」にあるのです。
 
 

 ちょっとしたことであっても、

気づかいできる人は自然とチャンスが

多くなっていくのだ。

 

人がストレスを感じる瞬間を押さえる

 

 そうは言っても、

どうすればいい気づかいができるかわからない。

 

 そんな人のために、

本書ではわかりやすく

 

「5つのコツ」を教えてくれている。

 

 

 その5つは

「限定」「予告」「共有」「領土」「記憶」

というキーワードで整理される。

 

これらに通底するポイントは

「人がストレスを感じる瞬間を押さえておく」

ということだ。

 

 ここでは、それぞれのカテゴリーの中から一つずつ、

ぜひ取り入れたい

「気づかいのコツ」をピックアップして紹介したい。

 

 

①限定のコツ:

「大丈夫?」以外の声かけをする

 
 

 新人に業務の進捗を確認しようと「大丈夫?」

「あの仕事、大丈夫だよね?」

と声をかけても、あまり意味がない。

 

「いいえ、大丈夫じゃありません」

とは言いにくいからだ。

 

 

 そこで、「はい・いいえ」で答えられる

クローズドクエスチョンより、

相手に話してもらうオープンクエスチョンで

声がけをする。

 

「どこまで進んだ?」

「いま、どんなことやってるの?」などだ。

 

こうやって一歩だけ踏み込んでみると、
 
「いや、じつは困っていることがあって……」と、
 
相談が出てくることがあります。
 
 
そこまでやって、
 
ようやく「声をかけてもらって嬉しかった」
 
という思いが出てくるのです。
 
 

とはいえ、
 
ぐいぐいと詰めるのではなく、
 
あくまで一歩です。
 
 
それがちょうどいい気づかいの距離です。
 
 
 

②予告のコツ:

「いまから電話いい?」

と前もって伝える

 
 

 現代のコミュニケーションツールはメールやチャット、

SNSなどが中心で、

電話で話をすることは少ない。

 

だが、電話が最適な場面だってある。

 

 

 文字では微妙なニュアンスが伝わらず、

すれ違いを生んでしまいそうなときは

電話がいい。

 

ただ、急に電話がかかってくると驚いてしまう。

 

 

チャットやメールで、
 

「少し電話で話したいんだけれど、
 
15時ごろどう?」と、
 
一言伝えてください。
 

心の準備を相手にさせてあげる、
 
大切な気づかいです。
 
 

 予告することは気づかいになるのだ。

 

 

③共有のコツ:

仕事の目的を「見えるように」伝える

 
 

 川原氏は毎年のように企業から

「報連相(報告・連絡・相談)が定着しない」

と相談を受けるという。

 

解決策の一つには、

報連相を受ける側が「話しかけるなオーラ」

を出さないようにすることがある。

 

 

 そしてもう一つがこれ。

 

目的の共有である。

 

仕事の目的がよくわかっておらず、

ただ言われたからやっている

というだけでは「作業」になってしまう。

 

すると、

報連相にもモチベーションがなくなる。

 

 

報連相を定着させるためには、
 
仕事の目的を伝えて、
 
「それをすると誰が喜び、
 
しないと誰が困るのか」を共有することです。
 

そうでなければ、
 
仕事ではなく「作業」のままです。
 
 

 口頭だとすぐに忘れてしまうので、

文書にして渡すと効果的だ。

メールなどでもいい。

 

 

④領土のコツ:

依頼メールに「断れる余白」を残す

 
 

 断るのが苦手な人は多いだろう。

でも、どんなに魅力的な依頼であっても、

都合がつかないことはあるし、

無理なものは無理だ。

 

あまり熱烈な依頼文では、

断る負担が大きくなってしまう。

 

 もちろん、

相手に許可や快諾をいただくことが

目的ではあるが、

「断れる余白」も入れておくのが、

ビジネスでの依頼メールを

送る際の気づかいである。

 

 

 初回の連絡は、

依頼の概要を示したうえで、

次のような書き方をすると検討しやすい。

 

 

まずは、
 
ご興味を持っていただけるかだけでも、
 
お聞かせ願えませんでしょうか。
 

かないましたら、
 
直接ご説明させていただきたいと思っております。
 

ご返信をお待ちしております。
 
 
 

⑤記憶のコツ:

小さな約束ほど「守り抜く」

 
 

「今度ランチでも行こうね」のような言葉は、

気軽に言ってしまいがちだ。

 

そして、言ったことを忘れてしまったりする。

 

ところが、

言われた方は案外忘れていないものだ。

 

 

 特に若い人は本気で信じており、

「いつ誘ってくれるのかと楽しみに待っていたけど、

誘われなかったから、

嫌われているのかもしれない……」

と悩む人もいるという。

 

 

気軽に声をかけたことが、
 
小さな裏切り行為になることもあるのです。
 
人はそんなに簡単には忘れないものです。
 

このように、
 
「小さな約束」は、スマホなどにメモしておいて、
 
タイミングを見て、守るようにしましょう。
 
 

 小さな約束だからこそ、

きちんと守ることで「覚えていてくれたんだ!」

という嬉しさにもつながる。

 

 

 いかがだっただろうか。

 

5つのコツとしてピックアップしたこれらは、

冒頭にお伝えした友人が実際にやっていることだ。

 

 

 一つひとつは小さなことだが、

こうした気づかいが積み重なって

絶大な信頼となり、

 

チャンスが巡って来るのだと思う。