卵は、朝食から夕食まで私たちの食卓に

頻繁に登場する身近な食材だ。

 

調理しやすく手に入りやすいだけでなく、

タンパク質やビタミンB12、ビタミンD、

オメガ3脂肪酸など、

豊富な栄養素を含む素晴らしい情報源でもある。

 

 

これまでにも、

卵が私たちの骨や筋肉、

そして目の健康に良いことは広く知られてきた。

 

しかし実は、

 

卵には脳にもさまざまなメリットが

あるようなのだ。

 

カリフォルニア州のロマリンダ大学の

研究者たちによる最新の調査で、

 

そのメリットのひとつが明らかになった。

 

それは「アルツハイマー病のリスクを

低下させる可能性がある」ということ。

 

今回は、

この研究の著者の一人である専門家に話を伺い、

研究から判明したことや、

将来のアルツハイマー病予防にどう

繋がるのかを詳しく教えてもらった。

 
 
 

専門家の紹介:ジス・オウ博士(DrPH, MPH)/

ロマリンダ大学公衆衛生学部・疫学准教授

 

 

 
毎日食べる「卵」でアルツハイマー病リスクが下がる?最新研究が明かした“驚きの理由”

 

 

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65歳以上の米国人約4万人を対象にした大規模調査

 
 
 

この研究は、米国の「セブンスデー・アドベンチスト教会」

の成人信者96,000人以上の健康データを含む

大規模な前向きコホート研究(AHS-2)の

サブグループのデータを抽出して行われた。

 

参加者は全員、登録時に自身の食生活、

ライフスタイル、健康状態、基本情報などに関する

50ページにわたる詳細なアンケートに回答している。

 

 

 
 
 

今回の研究では、このAHS-2のデータのうち、

米国の高齢者・障害者向け公的医療保険制度である

「メディケア」に加入している65歳以上の成人、

約4万人を対象とした。アンケートの情報と、

2008年から2020年までのメディケアの

保険請求データを照らし合わせて

アルツハイマー病の診断歴を特定し、

15年間にわたりその健康状態の推移を追跡したという。

 

海外の大規模なデータではあるが、

私たちが日々の生活習慣を見直す上で

非常に興味深い結果が出ている。

 

 

卵を定期的に食べる人は

リスクが大幅に低下!?

 
 
 

研究チームは参加者を、

卵を「全く(あるいはほとんど)食べない人」から

「週に5回以上食べる人」まで、

卵の摂取量に基づいていくつかのグループに分類した。

 

15年間の追跡調査の結果、

2,858人がアルツハイマー病と診断されたが、

卵を食べていた人は、

アルツハイマー病を発症するリスクが

低いことが判明したのだ。

 

 

 

具体的なリスク低減の割合は以下の通りだ。

 

  • 週に5回以上卵を食べる人: 最大27%のリスク低減
  • 週に2〜4回卵を食べる人: 20%のリスク低減
  • 月に1〜3回卵を食べる人: 17%のリスク低減

 

 

週に1個の卵でも

脳の健康にメリットをもたらすはず

 
 
 

「今回の研究から、

適度な卵の摂取がアルツハイマー病の

発症リスクの大幅な低下と

関連していることがわかりました」と語るのは、

 

研究著者のひとりであるロマリンダ大学

公衆衛生学部疫学准教授のジス・オウ博士だ。

 

「食事やライフスタイル、

健康状態など他の多くの要因を考慮しても、

卵をほとんど、あるいは全く食べない人と比べて、

定期的に食べる人は

アルツハイマー病のリスクが低かったのです」

 

 

 
 
 

健康効果を得るために、

毎日何個も卵を食べる必要はない。

 

「特に注目すべきは、比較的少量の卵の摂取でも

メリットがあるようだという点です」とオウ博士は説明する。

 

「卵の摂取量がゼロと回答した人は、

週に約1個の卵を食べている人と比べて、

アルツハイマー病のリスクが有意に高くなっていました」

 

 
 
 

※この研究は米国国立がん研究所と

米国卵委員会の共同資金提供を受けているが、

資金提供者は研究の設計や分析、

発表された研究のいかなる部分にも

関与していないことが明記されている。

 

 

 

世界有数の長寿地域

「ブルーゾーン」でのデータが示すもの

 
 
 
 
 

この調査対象となった

「セブンスデー・アドベンチスト教会」の人々は、

教義の一環として伝統的にベジタリアンやヴィーガンの

食生活を送っている。

 

彼らの食事の大部分は、フルーツ、野菜、ナッツ、

豆類、全粒穀物などの未精製の植物性食品から成り、

アルコール、カフェイン、タバコも控えているのが特徴だ。

 

 

 
 
 

米国の南カリフォルニアにあるロマリンダは、

この教会の信者が多く住む地域であり、

その健康的なライフスタイルから、

世界有数の長寿地域である

「ブルーゾーン」の一つに認定されている。

 

ブルーゾーンとは、

日本の沖縄なども含まれる「健康で長生きする

人々が集中する地域」のこと。

 

ここに住む人々は、

がん、

2型糖尿病、

肥満などの慢性疾患の罹患率がはるかに低く、

長寿であることが知られている。

 

 

 

全卵を食べることで得られる

シナジー効果とは?

 
 
 

AHS-2の参加者は、

総じて非常に健康的な人々だと言える。

 

彼らの食生活のほんの一部(卵)に注目することで、

リスクを減らすためのより具体的な方法を

特定するヒントになるかもしれない。

 

しかし、

研究チームは「数十年にわたる健康的な生活」

ではなく「卵」が要因であると、

どうして判断できたのだろうか?

 
 
 

オウ博士によれば、年齢、ライフスタイル、

BMI、睡眠、食事、そして既存の慢性疾患など、

結果に影響を与える可能性のある「広範な交絡因子」を

調整したという。それでもなお、

 

「これらの変数が長期的に残した影響を完全に

測定できたとは限らない」とオウ博士は補足している。

 

 

 
 
 

卵には神経を保護する効果があるものの、

どの栄養素がアルツハイマー病の

リスク軽減に寄与しているかは、

 

まだ明確にはなっていない。

 

卵には脳の健康に良いとされる複数の成分が含まれており、

研究によれば、

これらが複合的かつ相乗的に働いている

可能性があるという。

 

これは白身だけでなく、

黄身を含めた「全卵」についての話だ。

卵には以下のような成分が含まれている。

 

 

卵に含まれる、

脳の健康をサポートする主な成分

 
 
  • コリン: 記憶とシナプスの機能に不可欠なアセチルコリンやホスファチジルコリンなどの神経伝達物質を生成する。
  • ルテインとゼアキサンチン: 認知機能の向上と酸化ストレスの軽減に関連付けられている抗酸化物質。
  • トリプトファン: セロトニンに変換され、気分や認知機能、そして睡眠のためのメラトニン合成に関与するアミノ酸。
  • DHA(ドコサヘキサエン酸): 脳細胞の成長と神経細胞の構造の維持に重要なオメガ3脂肪酸。
  • ビタミンB12: 脳の健康に欠かせない栄養素。卵1個で、1日に推奨される摂取量の約25%を補うことができる。植物中心の食生活を送る人は不足しがちな成分だ。ビタミンB12の欠乏は、神経の炎症や、アルツハイマー病の危険因子として知られる「ホモシステイン」のレベル上昇と関連している。

 

 

重要な注意点:

卵を毎日の習慣に取り入れてみよう

 
 
 

最後に一つ重要な注意点がある。

今回の研究は、

卵の摂取とアルツハイマー病リスクとの

「関連性」を見出したものに過ぎないということだ。

 

 
 
 

「これはあくまで観察研究であり、

卵がアルツハイマー病を直接予防するとは

断言できないことを強調しておきます」とオウ博士は言う。

 

「現時点で言えるのは、

卵の摂取がリスク低下と関連していた、

ということだけです」