2018/11/3

お互いに助け合って働くミネラル46種類の輪

 
お互いに助け合って働くミネラル46種類の輪
 
 
トレ・エン・エンプラス
 
セレニウム(Se)
 
セレニウム(セレンとも言う)は、20世紀後半に必須元素と
認められたミネラルで、それまではむしろ有毒元素と考えられていました。
 
体内にわずか1mgしか存在しない極微量ミネラルですが、
強力な抗酸化作用をはじめとするさまざまな重要な働きがあり、
 
セレニウムの摂取量が低い人はがんや心疾患になりやすい
ことが報告されて注目を集めるています。
 
 
セレニウムの働き <抗酸化作用>
 
セレニウムは、体内の抗酸化酵素の一つ「グルタチオン・プルオキシダーゼ」
の活性に必須のミネラルです。
 
活性酸素の一つである過酸化水素を分解する働きがあり、
活性酸素が関係するさまざまな病気や老化の進行を
防ぐのに役立ちます。
 
グルタチオン・ペルオキシダーゼの抗酸化作用は、
特にビタミンEと一緒の時に高まります。
 
<有害金属の無毒化>
 
また、セレニウムは、水銀やカドミウム、スズ、ヒ素などの有害金属と
体内で結びついて隔離し、その毒性を発揮させないようにする
働きがあります。
 
例えば、マグロなどの大型魚は、工業排水中の水銀が
食物連鎖で高濃度に蓄積されていますが、
 
体内に水銀とほぼ同じ量のセレニウムを
含むため水銀の毒性が打ち消されています。
 
 <精子の活動>
 
精子のミトコンドリアにはセレニウムが含まれ、
精子の運動性を維持するのに重要な働きをしています。
 
セレニウムの不足で精子の奇形が起きるという報告もあり、
男性不妊症の改善に期待されています。
 
<インスリン様作用>
 
セレニウムはインスリンに似た作用(インスリン様作用)があり、
ブドウ糖を細胞内に取り込むドアにあたる「グルコーストランスポーター4」
に作用するのではないかと考えられています。
 
動物実験では実際に血糖値が下がることが、京都薬科大学の
桜井弘教授らの研究で確認しています。
 
<免疫機能の向上>
 
免疫抗体の産生や、リンパ球のT細胞やNK細胞の働きにも
セレニウムは重要です。
 
 
 
不足すると心臓病やがんになりやすい
 
<心臓病①・・・心筋の障害>
 
中国東北部から南西部にかけての低セレニウム地帯には、
「克山病」(ケシャン)という風土病があります。
 
心筋細胞のミトコンドリアの崩壊によって心臓の筋肉が
壊死してしまい、心不全で死亡する率の高い病気です。
 
季節や年齢、性別などによって発症に差があるところから、
セレニウム欠乏にさらに別の要素が加わって発病すると
 
考えられていますが、「白筋症」という家畜のセレニウム欠乏症
でも骨格筋や心筋の変性がみられ、また、点滴による
 
完全静脈栄養療法(TPN)で輸液中にセレニウムが欠乏した場合も
下肢痛や筋無力感、心筋障害などがおこることが報告されています。 
 
<心臓病②・・・心血管疾患>
 
また、土壌中のセレニウム濃度の低いフィンランド東部では、
心筋梗塞などの心血管疾患の死亡率が世界的に高いことが
知られています。
 
セレニウムが欠乏すると、抗酸化作用が低下し、アラキドン酸の
代謝バランスが崩れて血小板の凝集能が高くなるなど、
動脈硬化が進行しやすくなります。
 
ただし、同じセレニウム欠乏の心臓病でも、中国の克山病では
冠動脈に病変はみられないことから、
 
フィンランドの場合は高脂肪食やアルコールの取り過ぎなども
影響していると考えられています。
 
<がん>
 
セレニウムの摂取量が少ない人は、セレニウムを十分にとっている
人に比べてがんになりやすいことが報告されています。
 
セレニウムががんを抑制するメカニズムはまだ確定されていませんが、
抗酸化力や免疫力が高まることに加え、
 
セレニウム自身にガン細胞の増殖を阻害する作用が
あるのではないかと考えられています。
 
 
有効性と毒性の幅が狭い
 
 
がんへの薬理作用は毒性を発揮するギリギリの量
 
セレニウムは必要量と中毒を起こす幅が狭いミネラルで、
欠乏するとさまざまな病気の引き金になる一方、
 
とり過ぎると中毒症状を引き起こします。
 
土壌中のセレニウム濃度が高い中国の湖北省恩施地方では、
爪の変形や脱毛などが報告され、また、家畜のセレニウム過剰症
 
「アルカリ病」では、食欲不振、脱毛、蹄の変形、歩行困難などが
おこります。
 
☆がんのセレニウム大療法
 
ただし、がんの抑制にセレニウムを用いる場合は、
短期間の大量摂取が必要だといわれています。
 
セレニウム中毒は、吐く息が硫黄臭やニンニク臭がしたり、
脱毛や爪の変形などで分かるので、
これらの症状に注意しながら行うことが大切です。
 
セレニウムは残留性はなく、摂取量を減らせばすぐに体内から
出ていきます。
 
大量摂取を長期間続けるのは大変危険です。
 
 
セレニウムの上手なとり方
 
 
よく使われる「第六次改訂日本人の栄養所要量」で、
 
セレニウムの所要量は成人で1日50㎍前後、
上限値は250㎍と設定されました。
 
セレニウムは、魚介類(マグロ、ワカサギ、ニシン、ハマグリ等)
穀類(小麦胚芽、小麦ふすま、玄米等)、野菜類(玉ねぎ、トマト、
ブロッコリー等)
 
などに多く含まれ、日本人には主に魚介類や穀類から1日約100㎎
のセレニウムをとっているので、不足の心配はないと言われます。
 
しかし、魚介類のセレニウムは水銀と拮抗しているため、
あまり有効に利用できません。
 
また、魚をたくさん食べる日本人は欧米人よりも体内の水銀濃度が
2~3倍も高く、体内のセレニウムが水銀の無毒化に使われがちなので、
 
その分、抗酸化に働くセレニウムは減ってしまいます。
 
健康のためにはもっと積極的なセレニウムの確保が望まれます。
 
作物に含まれてるセレニウムの量は、産地によって大きく異なります。
 
日本では、酸性雨に含まれる硫黄や、硫黄を含んだ化学肥料の
使用で、土壌中のセレニウムが硫黄と拮抗しやすくなっており、
 
作物にセレニウムが含まれにくくなっていると指摘があります。
 
 
がんや心疾患の予防には、サプリメント(栄養補助食品)で
セレニウムを補うのも一考です。
 
ビタミンEなどの他の微量栄養素の併用がセレニウムの毒性を
緩和するので、セレニウム単独でとるよりも、
 
総合タイプのサプリメントを選びましょう。
 
 
 
  
1喧嘩はするな、
2意地悪はするな、
3過去をくよくよするな、
4先を見通して暮らせよ、
5困っている人を助けよ、
 
 
 
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