ショウガが自己免疫疾患の
炎症を緩和する可能性
ショウガは、
自己免疫疾患に関連する体内の炎症の
コントロールに役立つかもしれない。
自己免疫疾患のマウスや健康なヒトを
対象とした研究の結果、
ショウガ成分は、
白血球の一種である好中球の機能に
影響を与えることが判明したという。
米コロラド大学医学部准教授の
Kristen Demoruelle氏らの報告で、
詳細は「JCI Insight」
に2023年9月22日掲載された。
この研究では、
免疫を司る白血球の一種である
好中球が活性化したときに生じる、
好中球細胞外トラップ(NET)
形成という現象に着目した。
NETは、
好中球から排出される微細な
クモの巣状の構造物だが、
過剰に形成されると炎症や血栓形成を促進し、
抗リン脂質抗体症候群(APS)やループス、
関節リウマチなどの
自己免疫疾患の原因になると言われている。
一方、
ショウガに含まれるジンゲロール
という生理活性物質は、
好中球の機能に影響を及ぼすと言われている。
そこで本研究では、
ショウガの成分を抽出したものを、
自己免疫疾患のマウスや健康なヒトの
ボランティアに投与し、その働きを調べた。
マウスには粉末状の抽出物を
餌や生理食塩水に混ぜて与え、
ヒトにはカプセル入りの
サプリメントとして服用してもらった。
その結果、
ショウガの摂取はNET形成を抑制することが
明らかになった。
ショウガ抽出物をAPSまたは
ループスのモデルマウスに投与すると、
血中のNETが減少し、
さらにこれらの疾患に特有の大静脈血栓症の
抑制や自己抗体産生の減少が観察された。
また、
健康なヒトが1週間にわたり1日1回、
100mgのショウガ抽出物
(ジンゲロール約20mg含有)を服用すると、
好中球の内部でcAMPという
化学物質の増加が認められた。
この高レベルのcAMPは、
疾患に関連する刺激に対する
NET形成の反応を抑制した。
Demoruelle氏は大学のニュースリリースで、
「好中球が異常に
過剰活動してしまう病気は多い。
われわれは、
ショウガがNET形成の抑制に
役立つことを発見した。
ショウガは天然のサプリメントであり、
複数の異なる自己免疫疾患の
炎症や症状の治療に役立つ可能性があるため、
この結果は重要だ」と話している。
また、
論文共著者である米ミシガン大学
リウマチ科准教授のJason Knight氏も、
「ショウガはヒトにおいて明らかな
抗炎症作用を持つが、
今回の研究では初めて、
その根底にある生物学的メカニズムの
エビデンスを提供することができた」と説明。
こうしたエビデンスが、
医療従事者と患者にとって、
治療計画の一環としてショウガの
サプリメントを摂取することが有益か
どうかを議論するきっかけになることを
期待していると同氏らは述べている。
Knight氏は、
「過剰活動している好中球と戦うことが
知られている天然のサプリメントや
処方薬はあまり多くない」とし、
「そのため、
ショウガは既存の治療プログラムを
補完する実用的な能力を持つと思う。
今後の研究目標は、
人々の症状緩和を助けるために、
より戦略的で個別化されたアプローチを
開発することだ」とコメントした。
研究チームでは、
ループス、関節リウマチ、
新型コロナウイルス感染症
(COVID-19)などの自己免疫疾患や
炎症性疾患の患者を対象として、
ショウガの臨床試験を実施することを
考えているという。
<参考:>
1喧嘩はするな、
2意地悪はするな、
3過去をくよくよするな、
4先を見通して暮らせよ、
5困っている人を助けよ、
あなたなら出来ます応援しています