2024/5/18

「血管が若返る」手軽な食べ物は? 缶詰でもOK!

 
 
 
 
 
 
 

「血管が若返る」手軽な食べ物は?

缶詰でもOK!

【血管年齢30歳の医師が教える】

「血管が若返る」手軽な食べ物は?缶詰でもOK!【血管年齢30歳の医師が教える】

 

 

「人は血管とともに老いる」といわれるように、

血管のコンディションが私たちの健康と

寿命のカギを握っている。

 

血管の老化は、心筋梗塞、脳梗塞、脳出血、

大動脈解離などを引き起こし、突然死にも直結。

 

血管年齢30代をキープする実年齢62歳の医師が

「血管が若返る」秘訣を指南する。

 

 

血管老化による心臓病や心血管病が


がんを上回る死因のトップ

 
 

 男性の場合、40代と50代前半、

そして80代以上の死因のトップはがんではなく、

血管の老化による心臓病と脳血管疾患

といった心血管病だ。

 

女性も、

85歳以上になると心血管病による

死亡者数ががんを上回る。

 

 

私たちの体には網の目のように血管が

張り巡らされている。

 

血管のうち全身に酸素や栄養を運んでいる動脈は、

加齢とともにしなやかさを失って壁が厚くなり、

血液の通り道が狭くなる動脈硬化が進行していく。

 

 

 

「血管の老化現象である動脈硬化は、

自覚症状もなく進むサイレントキラー(静かな殺し屋)です。

 

いつの間にか動脈硬化が進行して

血管が切れたり詰まったりする血管事故が起こると、

心筋梗塞、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など

重篤な病気を引き起こし、

命に関わることも少なくありません。

 

ただし、

ひとたび老化した血管でも、

ちょっと生活習慣を見直すだけで、

若返らせることが可能です」

 

 

そう強調するのは、

『60歳を過ぎても血管年齢30歳の名医が教える

「100年心臓」のつくり方』(東洋経済新報社)などの

著書がある池谷医院院長の池谷敏郎先生だ。

 

先生も実践している、

血管を若返らせるために知っておきたいメソッドを

 
 
 
 

血管の炎症を抑えて


動脈硬化を予防する油は?

 
 

メソッド1:「EPA」と「オメガ3系油」で炎症の火消しを

 

「まず、今日から実践してほしいのは、

EPA(エイコサペンタエン酸)を豊富に含む青魚を

頻繁に食べることです。

 

EPAは、食事から取る必要がある必須脂肪酸で、

血管内皮細胞の炎症を抑え、

血流を良くする働きがあります。

 

スタチン製剤(脂質異常症の治療薬)で

治療中の脂質異常症の患者に

EPA製剤を追加することで、

脳血管疾患のリスクを50~60%、

心筋梗塞のリスクを約20%低下させる

という報告もあるくらいです」

 

 

EPAが豊富に含まれるのは、

サバ、アジ、イワシといった青魚やサケなどだ。

 

新鮮な刺し身で食べるのが一番だが、

味付けをしていない水煮缶も

手軽にEPAが取れるのでお薦めだという。

 
 
 
アマニ油、エゴマ油などに含まれる
 
「オメガ3系脂肪酸」は、体内でEPAに変換され、
 
血管の炎症を抑えるとともに動脈硬化を予防する。
 
 
 

 一方、日常的によく使われるコーン油、大豆油、

紅花油、ひまわり油などに多く含まれる

「オメガ6系脂肪酸」は、

体内でアラキドン酸に変換される。

 

アラキドン酸は牛肉、豚肉、鶏肉の脂身や

ラーメンのスープに浮かぶ白い塊にも含まれる成分で、

過剰に摂取すると動脈硬化が促進される。

 

 

「もちろん肉や植物油を取っては

いけないということではなく、

バランスが大事。

 

どちらも食事から取る必要がある必須脂肪酸ですが、

ほとんどの日本人はオメガ6系脂肪酸の取り過ぎです。

 

魚を食べオメガ3系脂肪酸を増やして、

オメガ6系との比を1対1に近づけるのがポイントです。

 

また、調理用には、

アラキドン酸が少なめで悪玉コレステロールを減らす

オメガ9系のオリーブ油がお薦めです」

 

 

メソッド2:「ベジファースト」と「ゆる糖質オフ」

で血糖スパイクを回避

 

 

血管の老化を防ぐには、

血糖値が急上昇する「血糖スパイク」を

避けることも重要だ。

 

 

「血糖値の急上昇が繰り返されると、

血管の壁のタンパク質に血液中のブドウ糖が結び付いて

AGE(終末糖化産物)が産生され、

それが血管の中の細胞を傷つけ老化を促進します」

 

 

 国内外の研究で、

血糖値の急上昇を防ぐために有効とされるのが、

食事のとき野菜から食べ、

米飯やパンなどの炭水化物は後回しにする

ベジファースト(ベジタブルファースト)だ。

 

食べる順番に気を付け、

食物繊維が豊富に含まれる野菜を先に食べるだけで、

腸から食欲を抑える「GLP-1」が

分泌され血糖値の上昇が緩やかになる。

 

 

GLP-1は、通称「やせホルモン」と呼ばれ、

糖尿病や肥満症の治療薬としても

使われている成分だ。

 

野菜を先に食べれば、

炭水化物(糖質)の取り過ぎも抑えられる。

 

 

 極端な糖質カットはNG

 

炭水化物はどのくらい取ればいい?

 
 

そうかといえば、

炭水化物をまったく取らない極端な糖質カットはNG。

 

糖質は、私たちの体を動かし、

脳を働かせるためのエネルギー源として

必要不可欠なものなのだ。

 

 

「ただ、現代人は、糖質を取り過ぎています。

 

血管を若返らせたいなら、

米飯やパン、麺類などの炭水化物を

いつもの半分にして、

その分、

野菜や大豆製品、肉、魚を増やす

“ゆる糖質オフ”を試してみましょう。

 

そうすれば、

簡単に体重を落とせますし、

血糖値の急上昇と急降下が抑えられ

血管の老化が防げます」

 

 

池谷先生自身も、

“ゆる糖質オフ”を実践している。

 

朝食は自家製のニンジンジュース、

昼食は、

市販のトマトソースと蒸し大豆にチーズをかけ、

電子レンジで温める簡単大豆トマトスープ、

夕食は野菜と魚か肉の主菜、

少なめの米飯などをバランスよく

しっかり食べるのがいつものメニューだ。

 

 

 
脂質異常症、メタボリックシンドローム(メタボ)
 
と診断されている人は血管事故を起こす
 
リスクが高まっているので、
 
血管の若返り対策が急務である。
 
 

日本人の死因で最も多いのはがんだが、

男性の場合は高齢者だけではなく、

40代と50代前半の現役世代でも、

心筋梗塞や脳血管疾患などの「血管事故」で

命を落とす人ががんを上回っている。

 

 

40~50代でも油断できないのだ。

 

 

 

メソッド3:抗酸化野菜・果物で血管をガード

 

 

「体をサビさせる酸化は、

動脈硬化を進める元凶です。

 

リコピンが豊富なトマトや金時ニンジン、

すいか、ポリフェノールの一種である

抗老化物質ケルセチンを多く含むタマネギ、

アスパラガス、プロシアニジンを含むリンゴ、

ナッツ類といった抗酸化作用のある

野菜や果物を積極的に取りましょう」

 

 

 また、

非常に強い抗酸化作用が注目されているのが、

ブロッコリーや、

その芽であるブロッコリースプラウトなどに

豊富に含まれている「スルフォラファン」という成分だ。

 

他に、

カリフラワー、ケール、

芽キャベツなどにも含まれている。

 

 

 ただし、

何か1つの食品だけを集中的に取ることは

得策ではない。

 

そもそも野菜には、

エネルギー代謝に欠かせない

「ビタミン」「ミネラル」、抗酸化作用のある

微量栄養素「フラボノイド」

「カロテノイド」なども含まれる。

 

 

 野菜に含まれる「カリウム」には、

血圧を上昇させるナトリウムの排せつを促し、

血圧を安定させ、

血管の中の細胞をガードする作用がある。

 

血管をサポートする食物繊維も豊富であり、

毎日、

野菜をたくさん食べること自体が、

血管の老化防止に有効なのだ。

 

 

 

傷ついた細胞は睡眠中に修復


寝る前のスマホは控えよう

 

メソッド4:良質な睡眠を取って、ストレスマネジメント

 

 

血管を守るために欠かせないのが睡眠だ。

 

池谷先生自身は、

45歳を過ぎた頃から、

良質な睡眠を確保するために、

 

夕方以降はコーヒー、緑茶などのカフェイン飲料は控え、

就寝前にスマートフォンやパソコンなどは

見ないようにしている。

 
 

「血管の細胞は日々傷ついていますが、

睡眠中に修復されます。

 

特に、

睡眠直後から3時間程度は成長ホルモンが

豊富に分泌され、血管を修復します。

 

睡眠不足は交感神経の緊張を招いて

血圧を上昇させますし、

食欲を増強させるホルモンが出て

肥満にもつながりかねません」

 

 
 
イライラしたり怒ったり嫉妬したりといった
 
マイナスの感情は血管を収縮させて血圧を上げ、
 
血管力を低下させる。
 
 

「私は、何か腹が立つことがあったときには、

 

自分の血管をイメージして、

イライラしている間に血管の中の

細胞に傷が付いてしまう、

それなら怒るのをやめておこうと

考えるようにしています。

 

ストレスをためないためには、

相手を変えようなどと考えないことです。

 

働き過ぎにも注意しましょう」

 

 

イライラしたら、

腹式呼吸で気持ちを静める方法もある。

 

「腹部に手を当ておなかを膨らませながら

3秒かけて鼻から息を吸い、

1~2秒息を止め、

おなかをへこませながら6秒かけて

口から息を吐きだす」を数回繰り返せば、

血圧の上昇も抑えられるので試してみよう。

 

 

デスクワークの人は要注意


30分に1回心がけたいことは?

 

メソッド5:座りっぱなしはNG、小まめに動こう

 

 ところで、

あなたは1日のうち何時間座っているだろうか。

 

座りっぱなしは血流を悪化させ、

喫煙と同じくらい命を縮めることが

世界の数々の研究で分かってきている。

 

豪州では、

「1日11時間以上座っている人は、

4時間未満の人に比べて死亡リスクが40%上がる」

との研究結果が報告され、

官民一体で「座りっぱなし防止キャンペーン」

に乗り出したくらいだ。

 

 

ちなみに、

シドニー大学の研究者が世界20カ国の

成人の平日座位時間を調べた結果では、

日本人が7時間で最長だった。

 

座っている時間が長いと、

1日30分以上のウォーキングや

週5日以上のランニングをしていても、

死亡リスクの上昇が免れないことも分かっている。

 

 

 
会議やトイレで席を離れたときには
 
遠回りして戻りましょう。
 
 
 
忙しい人でも、
 
通勤時間や犬の散歩時間などを利用して、
 
歩いたり走ったり小まめに体を
 
動かすことも大切です。
 
 
 
 
ゴルフや登山など、
 
体を動かす趣味を持つことをお勧めします」
 
 

池谷先生自身、これら5つのメソッドを実践し、

 

45歳のときには実年齢通りだった血管年齢が、

52歳で実年齢マイナス14歳の38歳に若返った。

 

62歳の今も、血管年齢は30代をキープしている。

 

 

「血管は何歳になっても若返ります。

 

私のクリニックに通う患者さんの中には、

70代~80代でも、

ちょっとした生活習慣の見直しで血管年齢と

見た目がみるみる若返った例が少なくありません。

 

医師仲間の中にも、

過労が重なり、

40代~50代で突然死してしまった人がいます。

 

今日から5つのメソッドを実践して

血管の若返りにチャレンジし血管事故を防ぎましょう」

 

 

 

<参考:池谷敏郎 池谷医院院長>