2024/7/19

他人に甘えられない人はなりやすい。 依存症のメカニズムを知る

 
 
 
 
 
 

他人に甘えられない人はなりやすい。

依存症のメカニズムを知る

 
 
 
 
 

なぜ人は依存してしまうのか。

それには脳の働きが大きく関わっているようだ。

依存症のメカニズムと、その実態をまずは理解しよう。

 

 

 

すべてはドーパミンによる快感を

ラクに何度でも得たいから

 
 

ほとんどの依存症に関わるのが

脳の報酬系と呼ばれるA10神経回路

 

脳幹の一番上に位置する

中脳の腹側被蓋野という部位を起点とし、

大脳辺縁系の側坐核などを経由して

大脳皮質まで至る情報伝達ルートのこと。

 

 

 

依存に関わる脳の部位
 
 
 

依存に関わる脳の部位

 

 

 

「一生懸命勉強してテストでいい点を取って

褒められたとき、

スポーツで上手にできたプレイを賞賛されたときの

気持ちよさは報酬系にドーパミンという

神経伝達物質が放出されるからです。

 

何かを学んだり新しいスキルを身につけるためには

この報酬系の働きが欠かせないのです」

 

 

快感と依存のサイクル
 
 

快感と依存のサイクル

 

 

 

食糧を確保したり子孫を残すための

伴侶を得るためには報酬系の後押しは不可欠。

 

ところが、

依存性の高い化学物質は問答無用に

大量のドーパミン分泌を促す

 

楽に快感を得られると。

ヒトは努力するどころか、

それに頼るようになる。

そして歯止めがかからなくなるのだ。

 

 

依存症になりやすい人は

「他人に甘えられない人」

 
 

アルコールもエナジードリンクも24時間

いつでもコンビニで買えてしまう。

 

インバウンド客からしたら「マジ?」と

驚かれるほど依存性の高い化学物質を

手に入れやすいニッポン

 

なのに、

依存症になる人とならない人がいるのはなぜなのだろう。

 

 

「意外に思われるかもしれませんが、

我慢強い人、人に頼らない人、

自分で抱え込んで問題を解決しようとする人ほど

依存症になりやすいんです。

 

 

こういう人は過去に虐待やいじめを受けて

誰からも助けてもらえなかった

経験を人生の早い時期にしている場合が多い

 

だから人に頼らず化学物質で辛い

気持ちだけを紛らわせて過酷な状況に適応しようとする。

 

 

僕は依存症というのは

安心して人に依存できない病

であると思っています」

 

 

日本独特のメンタリティは

依存症に傾きやすい?

 
 

違法薬物の乱用は欧米の方が深刻だから

日本人は依存症になりにくいのでは?

と思われがちだが、さにあらず。

 

 

市販薬を乱用する若者は驚くほど多いし、

厚生労働省が行った調査で過去1年間に

ギャンブル依存症が疑われる状態に

なったことがある人は成人の2.2%

欧米に比べて突出して高いことが分かっている。

 

 

「日本人は人様に迷惑をかけてはいけないという

価値観があるうえ、

 

地方では周りから逸脱できない村社会が

まだ生きています。

 

理不尽なルールにも過剰適応しなくてはならず、

そのモヤモヤが依存的な化学物質や

行動に結びつく可能性はあります」

 

 

Take a rest

 

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メカニズムが微妙に異なる

 

 

依存症と聞いて思いつくのはやはり薬物。

 

20歳以上になれば合法のアルコールや

ニコチンも薬物だし、

 

ドラッグストアで売っている風邪薬や

咳止めシロップなども薬物、

 

持っていたり使えば逮捕される覚醒剤なども、

もちろん薬物だ。

 

依存症はもともと化学物質への依存問題なのだ。

 

 

下の表のように、

同じ薬物でも脳にどのような影響を与えるかによって

タイプが異なる。

 

脳の働きを活性化させる

「アッパー系」脳の働きを抑制する「ダウナー系」だ。

 

 

アッパー系とダウナー系の仕組み
 
 

アッパー系の仕組み

 

ダウナー系の仕組み

 

 

 

「カフェインや覚醒剤などのアッパー系は

脳にダイレクトに働きかけて

ドーパミンの分泌を促します

 

 

一方、アルコールやヘロインなどのダウナー系は

それと反対方向の薬理作用を持っていて、

 

周辺のサイドパスウェイを通って最終的には

ドーパミン分泌を促すよう働くことが分かっています」

 

 

 

薬物のタイプ

 

 

依存症は化学物質に限らない。

嗜癖行動もまた治療対象です

 
 

先に述べた◯◯依存症の半数が薬物(化学物質)、

もう半数は非薬物

 

先鞭をつけたのがアメリカの精神医学会が

2013年に改訂した診断基準の最新版、

DSM-5。ここで薬物以外の嗜癖行動、

下記に掲げた行動が特徴の

ギャンブル障害」が依存症の診断基準に加わった。

 

 

ギャンブル依存症の行動パターン
 
  1. 最初に自分で決めた以上の金額を使ってしまう
  2. 勝った時点でキリよくやめることができない
  3. 負けた分をギャンブルで取り返そうとする
  4. ギャンブルをしていることを周囲に隠す
 
 

「化学物質とは異なる行為が依存症の

カテゴリーに入ってきたというのが大きな進歩でした。

 

 

さらにWHOが2022年に出した

ICD-11ではゲームという

嗜癖行動も追加されました。

 

依存症の診断範囲が広がってきている理由は、

それに悩んでいる患者さんたちが増えているから

 

 

医療機関が対応するカテゴリーを

明確に作っていかないと、

サービスを提供できないからです」

 

 

コラム:戦後復興とヒロポン
 

日本の依存症問題の始まりは

1950年代前半のヒロポン=覚醒剤の乱用

 

ヒロポンを使って戦争で傷ついた心にフタをして、

みんながむしゃらに働きニッポンは奇跡の復興を遂げた。

 

 

「その系譜は高度成長期以降にも

受け継がれていて、

 

ワーカホリックと呼ばれ辛い自分の心から

目を背けてとにかく目の前の仕事をする

社畜の人生を選ぶ。

 

トラウマと依存症にはそんな関係があります

 

相棒はもちろんエナジードリンク。

 

 

<参考:まつもと・としひこ 精神科医> 
 
 
 
 

1喧嘩はするな、
2意地悪はするな、
3過去をくよくよするな、
4先を見通して暮らせよ、
5困っている人を助けよ、

 

 

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