2024/9/11
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地球だけに生命が存在 できるようになったのは一体なぜか… 「死せる惑星たち」と「地球」を 分けた「シンプルな要因」 |
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地球だけに生命が存在できるようになったのは一体なぜか…「死せる惑星たち」と「地球」を分けた「シンプルな要因」海があり、陸地があり、 植物や動物がひしめきあっている地球。
私たちが当たり前のように 享受しているこの星の環境は、
実は46億年かけて生み出された 「すごすぎる仕組み」だった…!
地球の成り立ちから現在までの変化を 壮大なスケールで眺め、
物質循環という「非常にシンプルな原理」で 解説した地球科学の新しい入門書 『地球46億年 物質大循環』から、 そのポイントをお伝えしたい。
地球とはどんな惑星か、考えてみよう 地球は、 人類にとって快適な環境や 有用な資源に恵まれています。
そしてそれらは長い時間をかけて かたちを変えながら循環してできたことを これまで見てきました。
これは、 太陽系惑星のうちで地球だけの特徴です。
本連載の締めくくりとして、 地球だけがどうして、このような 特徴を持っているかを考えてみます。
地球だけが「物質循環」している地球は、太陽系惑星の中で特異な存在です。
地球には、大陸と海があり、 大気に多量の酸素があり、生命が誕生して進化し、 エネルギー資源や鉱物資源が濃集しています。
これらは、地球の46億年間の歴史の中で、 少しずつできてきました。いっぽう、
地球以外の他の惑星は、 惑星ができたばかりの46億年前の頃から ほとんど変化しておらず、
地球のように快適な環境や有用な資源がありません。
地球が変化を続けている 生きた惑星であるのに対して、 太陽系の他の惑星は、 言うなれば「ほとんど変化のない死んだ惑星」なのです。
地球だけが変化し続ける惑星になった理由は、 「地球と太陽からの距離」および 「惑星の大きさ」がちょうどよかったことにあります。
地球型惑星は太陽に近いために 岩石の惑星となったので、
熱源となる放射性元素(カリウム、トリウム、ウランなど)が 多量にあり内部で熱を発生させることができました。
いっぽう、 木星型惑星や天王星型惑星は、 太陽から遠いために氷の惑星となったので、 熱源となる放射性元素が少なく 内部で熱をほとんど発生することができませんでした。
つまり、内部の熱対流の原因となる 熱源が地球型惑星にはあって、 ほとんどなかったのです。
熱源がほとんどない木星型惑星や天王星型惑星は、 内部で熱対流を起こさないのです。
地球型惑星には熱対流の原因となる熱源はありますが、 熱源があるだけでは熱対流は起きません。
熱対流が起きるためには内部の 粘性が低く(軟らかく)なければなりません。
地球の内部は、 他の地球型惑星に比べて粘性が低いのです。
それは地球内部に水がたくさんあることによります。
水があるとケイ素―酸素―ケイ素の結合が 加水分解して切れるので、 マントルの粘性が低くなるのです。
地球型惑星のうち、 地球だけに多量の水があった理由を簡単に復習しておきます。
地球の水の起源は宇宙空間にあった 含水ケイ酸塩鉱物だと考えられています。
この含水ケイ酸塩鉱物は、 水星や金星近傍の軌道では温度が高すぎて不安定であり、 水を吐き出して無水のケイ酸塩鉱物になってしまいます。
このために水星や金星には 含水ケイ酸塩鉱物が降り注いでこないために 水が集積しませんでした。
いっぽう、 地球や火星の近くの宇宙空間は温度が やや低いために含水ケイ酸塩鉱物があり、 これらの鉱物が地球や火星に集積したために、 地球や火星には多量の水が集積したのです。
それではなぜ地球に水が多量にあり 火星には水が少ししかないのでしょうか。
それは、 地球はサイズが大きく重力も大きいために 水分子はあまり宇宙空間に拡散しなかったのに対して、 火星はサイズが小さく重力も小さいために ほとんどの水が宇宙に拡散してしまったからです。
このように、 地球に多量にあった熱源と水は、 地球に生きる力をあたえました。
地球内部(マントル)の熱源と水によって、 地球のマントルは熱対流したのです。
つまり、 熱エネルギーを運動エネルギーに 変換することができたのです。
そして、マントルの熱対流が、 地球の表面にある物質を循環させているのです。
「物質循環」が地球を今の姿に変えた地球の物質は、循環しているために、 熱い場所に行ったり冷たい場所に行ったりして、 物質を平衡状態から非平衡状態にし、 反応を進行させました。つまり、 熱エネルギーを化学エネルギーに変えたのです。
このような反応を通じて、 46億年かけて地球は姿を変えてきました。
熱い場所や冷たい場所で 起きている重要な反応には、 かならず揮発性物質がかかわっています。
それらの反応は、 温度が高いと鉱物から揮発性物質が 吐き出される方向に反応が進み、
温度が低いと揮発性物質が鉱物に 入るという規則性があります。
これを拡張すれば、熱い場所では、 気体の分子数が増える方向に反応が進行し、 冷たい場所では、 気体の分子数が減る方向に反応が 進行するということになります。
さらに一般的にいえば、 高温ではエントロピーが高くなるように反応が進行し、 低温ではエントロピーが低くなるように 反応が進行するということです。
地球で起きている重要な現象は、 複雑で多様性に富んでいるのにもかかわらず、 すべてこの規則にしたがっています。
このような反応を通じて、 この46億年間、地球は変化してきました。
地球の大気は初期の段階で、 二酸化炭素濃度を大幅に減少させました。
地球は、少しずつ大陸を成長させてきました。
地球では、生命が誕生しました。
生命が進化し光合成をする植物が繁栄した結果、 地球の大気中の酸素濃度が高くなりました。
生物の死骸からは石炭・石油・天然ガスが 地下にできました。
銅、鉛、亜鉛などの親銅元素やウランも濃集し、 利用できる資源となりました。
初期の段階で地球の二酸化炭素濃度が 大幅に減少しているのは、 二酸化炭素が海洋地殻と反応して 海洋地殻に取り込まれたからです。
この海洋地殻は熱い場所で 平衡になった物質であるために、 水や二酸化炭素などの 揮発性物質はほとんど含んでいません。
マントルの循環で地表に現れた海洋地殻は 冷たい状態になったために、 非平衡状態になり、 揮発性物質である二酸化炭素を海洋地殻に取り込み、 大気中の二酸化炭素濃度を減少させたのです。
大陸の成長も、 海洋地殻と二酸化炭素の反応が原因となっています。
熱い状態から冷たい状態に変化した 海洋地殻と二酸化炭素が反応し、 二酸化炭素が海洋地殻に取り込まれたのです。
このときに、海洋地殻は不均質になりました。
海洋地殻の上部は酸化ケイ素が多くなり、 下部は酸化ケイ素が少なくなったのです。
この上部の酸化ケイ素の多い部分が、 大陸地殻となったのです。
生命が誕生したのも、 地球の物質が循環しているからです。
最初の生命である化学合成独立栄養細菌は、 地球にある還元的物質と酸化的物質を 反応させてエネルギーを得ていました。
エネルギーを得ることができるのは、 還元的物質と酸化的物質が非平衡状態にあるからです。
熱い状態で平衡状態にあった還元的物質と酸化的物質が、 物質循環で冷たい場所に来たために非平衡になったのです。
親銅元素が濃集したのも、 地球の物質の循環によります。
熱い状態(800℃以上)にある岩石中は 二酸化イオウが安定ですが、
その二酸化イオウが岩石から離れて 冷たい場所に来ると不安定となり、
硫酸イオンと硫化水素とに分解し、 硫化水素と親銅元素が結びついて 硫化鉱物が沈殿し濃集するのです。
以上のように、 地球の物質が循環しているからこそ、 物質が熱い場所や冷たい場所に移動し、 それぞれの場所で安定になるよう化学反応をしながら、 46億年かけて地球は姿を変えてきたのです。
この地球の物質循環により、 地球がいかに姿を変えてきたか。
「熱機関」として地球を捉えなおす最後に、地球と他の惑星の本質的な違いを、 一言で表してみましょう。
それは「地球は熱機関として機能していたが、 地球以外の惑星は熱機関として 機能していなかった」ということです。
つまり、 地球だけが、熱エネルギーを運動エネルギーや 化学エネルギーに変換することができる 熱機関として機能していたのです。
木星型惑星や天王星型惑星はそもそも十分な 熱源がないので熱機関として機能しませんでした。
地球以外の地球型惑星は熱源がありましたが、 その熱源を運動エネルギーや化学エネルギーに 変換できなかったので熱機関として機能しませんでした。
そうして地球は生きている惑星になり、 地球以外の惑星は死んだ惑星になったのです。
このことは、 どうか忘れずに覚えておいてください。
<参考:月村 勝宏>
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