2024/9/20
|
|
ヒッグス場が素粒子に質量を与える 「本当の仕組み」とは? |
|
ヒッグス場が素粒子に質量を与える「本当の仕組み」とは?2012年に大型ハドロン衝突型加速器で ヒッグス粒子が発見され、
ヒッグス場の存在が証明されて以来、 物理学者らはヒッグス場が物体に 質量を与える仕組みを説明するために、
水あめやスープ、 群衆など身近にあるさまざまな物を 使った例え話をしてきました。
ハーバード大学物理学部の准教授である マット・ストラスラー氏が、
楽器の弦の振動による「音楽」の方が、 こうした例え話よりも正確だと提案しています。
The New York Timesのコラムは「雪」を使っており、
「ヒッグス場は一面の雪原のようなもので、 雪をかきわけて歩く人と、スキー板ですべる人、
雪原の上を飛ぶ鳥とでは雪から受ける抵抗が違うが、 この抵抗が質量の由来」と解説されています。
しかし、こうした説明の多くは物理学者が 大学1年生に教えるさまざまな理論と矛盾していると、 ストラスラー氏は指摘します。例えば、
ヒッグス場が抗力を発揮して質量を 生み出すというのはニュートンの 運動の第1法則と第2法則に矛盾しており、
もしこれが本当なら宇宙に広く存在する ヒッグス場の影響で地球はとっくに 減速して太陽の中に落ちています。
何らかの物体だとすると、 絶対運動を測定するための比較点となり得るため、
運動は相対的なものであるとする ガリレオの相対性原理や アインシュタインの相対性理論に 反してしまうとのこと。
このように、ヒッグス場を何らかの物に例えて、 その抵抗で質量が生じると説明するのはあまり 正確ではないため、
ストラスラー氏は代わりに以下のような物語を作りました。
焼け付くように熱い宇宙は 素粒子であふれかえっていて、
宇宙の場にはヒッグス場がありましたが、 最初はスイッチがオフになっていました。
しかし、宇宙が膨張して冷えると、 突然ヒッグス場のスイッチが入って、 場の強さがゼロではなくなりました。
これにより多くの場が硬くなって、 粒子は共鳴する周波数と質量を獲得しました。
ヒッグス場はこのようにして、 宇宙を今日のような量子の楽器に変えたのです」
「場」と「粒子」と「共鳴周波数」です。
まず場と粒子ですが、 現行の素粒子物理学の有力な 枠組みである場の量子論では、
宇宙は電磁場や重力場などの場で 満たされていると論じられており、
ヒッグス場もそのひとつです。
それぞれの場には対応する粒子があり、 場を水面に例えると電磁場の波紋は光子、
電子場の波紋は電子、 ヒッグス場の波紋はヒッグス粒子となります。
ストラスラー氏によると、 ギターの弦をはじくと一定の音色を奏でるように、 静止した電子は
「共鳴周波数(resonant frequency)」と 呼ばれる周波数で振動するとのこと。
宇宙のほとんどの場は共鳴周波数を持っており、 「そういう意味で宇宙は楽器に似ている」と ストラスラー氏は話しました。
質量は水あめのような物質で素粒子が 減速して生じるのではなく、
「ヒッグス場が強くなればなるほど 素粒子は高い周波数で振動し、
その分だけ質量が増大する」ということになります。
そのため、 ヒッグス場は他の場の共鳴周波数を高める 「宇宙硬化剤」のようなものだと考えることもできます。
質量を与える仕組みを、
ストラスラー氏は振り子に例えています。
重力場がない空間の場合、 振り子は宙に浮かびますが、
重力場が存在すると振り子は真下に 垂れ下がって左右に揺れるようになります。
by Mark Belan for Quanta Magazine
この振り子が右に振れると、 重力によって左に戻ります。
また、逆も同様です。 この復元効果は重力場が強くなればなるほど強くなり、 振り子の共鳴周波数も高くなります。
同じように、ヒッグス場は他の基本場 (elementary field)に復元効果を生み出し、 その振動を変えます。
この振動が、粒子の質量となるわけです。
静止した粒子の振動が速いほど その質量は大きくなります。
一方、共鳴周波数がない場は 質量のない粒子に対応しますが、
そのような粒子は電磁場における 光子のように決して静止することはありません。
共鳴が現実の根底にあるという事実は、 喜びと驚きの源です。
私はアマチュア音楽家としても活動してきましたが、
大学院生のときに宇宙の構造や私の体も ピアノやギターが音を奏でるのと 同じ仕組みで機能していることを知って、 すっかり驚きました。
私たちの宇宙が持つ秘密の音楽性は、 ヒッグス場がなければ存在しなかったでしょう」 と述べました。
<参考:>
1喧嘩はするな、
あなたなら出来ます応援しています 美容室 ParkTown by サロンデイレクター
美容室 ParkTown (p-kit.com)
|
|