2025/5/4

地球の生命を襲った過去5回の 大量絶滅「ビックファイブ」、 その原因は?

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

地球の生命を襲った過去5回の

大量絶滅「ビックファイブ」、

その原因は?

 
 
 


 

 

地球の歴史は生命の進化と絶滅の繰り返しだ。

 

地球上の生物は、

過去に5回の大規模な大量絶滅を経験しており、

「ビッグファイブ」と呼ばれている。

 

 

絶滅の憂き目にあったのは恐竜だけではない。

 

45億年以上にわたり、火山、小惑星、

気候変動により、

何百万もの種が絶滅した。

 

 
 

更に現在、地球には人類の活動による

6度目の大量絶滅」が

進行している可能性があるという。

 

 

かつて地球が経験した5回の

大量絶滅は何が原因で

起きたのかを振り返っていこう。

 

 

もしかしたら何か学べることがあるかもしれない。

 

 

1回目:

オルドビス紀末

約4億4400万年前

 
 

約4億4000万年前、

地球最初の大量絶滅が発生した。

 

 

当時、

生物の多様性は約3000万年にわたって

増え続けていたが、

 

南極付近に巨大な氷床が形成され、

気候が急激に下がったことで止まった。

 

 

この寒冷化はアパラチア山脈の

形成と関係があるとされる。

 

当時存在した超大陸ゴンドワナ大陸

北アメリカ大陸に衝突し、

 

約10億年前から約5億年前、

南半球に形成されたと考えられている

イアペトゥス海が1億5000万年かけて消滅した。

 

 

この衝突によって生じた岩石が風化する際、

大気中の二酸化炭素を吸収したため、

急激な寒冷化と海面低下が起き、

 

腕足動物(2枚の殻を持つ海産の底生無脊椎動物)、

サンゴ、三葉虫など海洋生物の約85%が絶滅した。

 

 

 

 
アパラチア山脈の形成は、地球規模の大規模な
 
寒冷化を引き起こした可能性がある  
 
 

2回目:

デボン紀後期

約3億7200万年前

 
 

約4億1900万年前から約3億6500万年前に

かけてのデボン紀に、

地球は再び絶滅の危機に直面する。

 

 

この期間に断続的に起こった絶滅によって、

特に熱帯地域の海洋生物の75%が消えた。

 

原因は酸素濃度の低下に加え、

堆積物の増加、急速な気候変動、

 

隕石や彗星の衝突、火山活動、

大陸からの栄養塩類の流入など

複数の要因が絡み合った可能性が高い。

 

 

この時期、

シーラカンスのような一部の魚類は生き延びた。

 

また、陸上の植物が茎を強化するリグニン

(植物の細胞壁に含まれる高分子化合物)や

維管束を進化させ、

根が深く伸びたことで岩石の風化が進み、

これが絶滅の要因の一つになったという説もある。

 

 

 

 

 

3回目:

ペルム紀末

約2億5200万年前

 
 

約2億5200万年前、

「グレート・ダイイング(Great Dying)」と

呼ばれる史上最大の絶滅事件が起こった。

 

 

激しい火山活動が地球の気候を

劇的に変化させ、

生物圏全体が崩壊したのだ。

 

 

約6万年という短期間に、

海洋生物の96%、

陸上生物の約75%が消滅した。

 

アメリカの古生物学者クリスチャン・カメラー博士

2023年のインタビューで、

 

「ペルム紀の大絶滅と

現在の気候変動は似ている。

 

どちらも温室効果ガスによる急速な

温暖化が原因だ。

 

当時は火山活動、

現在は人間活動が主な要因である」と述べている。

 

 

この絶滅期を生き延びたのは、

淡水域で大型肉食動物の手が届かない

小動物を食べていた原始的な両生類、

分椎目(ぶんついもく)などである。

 

 

 

 
大きな胸帯と腹板を示す分椎目の両生類、
 
スクレロケファルスの化石 

 

4回目:

三畳紀末

約2億100万年前

 
 

「グレート・ダイイング」後、

生物は多様化を始めたが、

約2億100万年前に再び悲劇が起きる。

 

 

火山活動が再発し、

大気中の二酸化炭素濃度が上昇、

海洋が酸性化し、

地球の平均気温が約3~6℃も上昇した。

 

 

その結果、

陸上・海洋生物の約80%が絶滅した。

 

当時、

現在より大型で多様だったワニの

大半が絶滅したが、

これにより恐竜が繁栄する道が開かれた。

 

 

 

 

 

5回目:

白亜紀末

約6600万年前

 
 

約6600万年前、

現在のメキシコ・ユカタン半島沖に

直径約11kmの巨大隕石が衝突した。

 

 

この衝撃で120kmの巨大クレーターが形成され、

大津波や大量の塵・硫黄が大気圏に巻き上げられた。

 

 

世界規模の寒冷化と広範囲の山火事が発生し、

恐竜を含む全生物種の約75%が

絶滅したといわれている。

 

 

この大量絶滅で恐竜が姿を消した後、

小型の哺乳類が台頭し、

現在の生態系を形成した。

 

 

 


 

 

第6回目は既に進行している?

 
 

これらの歴史を振り返ると、

地球の生命は何度も滅亡の危機を

乗り越えてきたことがわかる。

 

そして現在、

科学者たちは「第6の絶滅」がすでに進行中であり、

原因は人間の活動だ、との見解を出している。

 

 

私たち人類が次の絶滅を食い止められるかどうか、

その選択は今、

私たちの手に委ねられている。

 

 

なお、

東京・上野の国立科学博物館では、

2025年11月1日から2026年2月23日間で、

大絶滅展―生命史のビッグファイブ」の特別展を行う。

 

 

「ビッグファイブ」をテーマとする特別展は、

国立科学博物館では初めての開催となり、

 

各種の古生物や火山、

古気候・古海洋などを専門とする

 

国立科学博物館の研究者10名による監修で、

様々な角度から5回の大量絶滅の

謎に迫る興味深い内容となっている。

 

興味のある人は、

カレンダーやリマインダーにチェックを

入れておこう。

 

 

 

 
 
 
 

<参考:>