2025/5/7

60歳からの仕事は 「好きなことを、無理なく、長く」… ワクワクの記憶をたどって見つけた 〈本当にやりたい仕事〉2つの実例

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 60歳からの仕事は
 
「好きなことを、無理なく、長く」…
 
ワクワクの記憶をたどって見つけた
 
〈本当にやりたい仕事〉2つの実例
 
 
 
 
 
 
 
 

60歳からの働き方について具体的に考えていますか? 

長く働くことを考えるのであれば、

「雇われる働き方」を卒業して、

自分の好きな分野で小さな仕事を続けることが理想です。

 

では、どうすれば自分の「やりたいこと」を

見つけることができるのでしょうか。

 

2つの実例を参考に考えてみましょう。

 

 

人生で一番ワクワクしたことを思い出す

 

 
 
 

やりたいことを見つけるための

最初のアプローチ方法は、

 

これまでの人生を振り返り、

「一番ワクワクしたこと」を思い出すという方法です。

 

 

「ワクワクする気持ち」というのは、

ひとりひとりの心の中から湧き出てくる

未来への期待、

行動の原動力になるものです。

 

 

心が弾むワクワク感があるから、

人は頑張れるし、

そんなワクワクを仕事にできたら

人生は楽しいに決まっています。

 

 

会社主催のキャリア研修などで、

自分を振り返るワーク、

 

いわゆる「キャリアの棚卸し」を

やったことがある人もいるかと思います。

 

ただここでやることは、

「自分ができること」に目を向けるのではなく、

「ワクワクしたこと」に

フォーカスして人生を振り返ることです。

 

 

また振り返るのは仕事だけでなく、

人生全般。子どものころまで遡って、

1歳ごとぐらいの詳しさで、

じっくりと「ワクワク体験」を思い出してみてください。

 

忘れてしまっていることもあるので、

親や兄弟姉妹に聞いてみるのもよいでしょう。

 

 

またなぜワクワクしたのか、

その背景にある気持ちまで深掘りしてみると、

やりたいことにつながるヒントが見えてきます。

学生時代のバックパック旅行の

ワクワクを思い出し、

旅行業で起業

 
 
 

例えば、

機械メーカーで海外営業などを

経験してきた田辺一宏さんが、

60年近い人生を振り返って思い出した

一番の「ワクワク体験」は、

学生時代のバックパック旅行でした。

 

 

田辺さんは、

57歳の役職定年を機に起業を考え始めます。

 

60歳の定年後も嘱託雇用で

事務職として働く道はありましたが、

給与も大幅に下がり、

 

事務職に面白みを感じることもできないため、

であれば60歳で定年退職し、

自分が楽しいと思える

仕事をしたいと考えたからです。

 

 

 

当初は何で起業したらいいのか全くわからず、

得意の英語を活かして英会話の

先生になることも考えましたが、

 

英語は好きだけれど、

教えることは好きではないことに気づきます。

 

 

そんななか、

起業塾で「できることよりワクワクすることで

起業すべき」ということを学び、

 

自分を掘り下げるワークに取り組みます。

そこで大学2年生のときに1年間休学して、

 

世界20か国を巡ったバックパックの

旅の楽しさを思い出したのです。

 

旅行業だったら、英語も活かせるし、

自分も楽しみながら働けると思い、心が決まります。

 

「暮らすように旅する」というコンセプトで、

民泊を活用した長期滞在型の

個性的な旅行をインターネットで

販売するという事業を立ち上げることになります。

 

 

そこからの田辺さんは実にパワフル。

 

ゼロから情報収集をした結果、

旅行業を始めるにはやらなければ

ならないことがたくさんあることがわかり、

 

次々とこなしていきます。

 

中でも難関は合格率15%の

「総合旅行業務取扱管理者」という資格の取得。

 

勉強のためにあわてて会社を辞めて

、4か月間集中して学んで見事1発で合格。

 

無事に60歳でひとり起業しました。

開業当初は集客に苦労しましたが、

 

同窓会や同業者の会などに

積極的に参加してネットワークを広げ、

軌道に乗せていきました。

 

田辺さんのお話を聞いていると、

添乗でお客様と一緒に旅をしたり、

 

空港で解散したあとひとりで

近国をふらりと旅することもあるとのことで、

実に楽しそうです。

 

「起業には苦労はつきもの。

英会話教室ではワクワクが足りず

途中でやめていたかも」と話しています。

 

 

 

一番楽しかったのは

人事部時代と気づき、

キャリア支援の道へ

 
 

新卒で信託銀行に入行した山際祐治さんが、

65歳までの嘱託雇用を選ばずに、

 

60歳での定年退職を選んだのは、

「仕事人生の最後は

会社から与えられる仕事ではなく、

 

心からやりたいと思える

仕事をしたい」という思いから。

 

 

また会社員時代に犠牲にしてきた

趣味や家族との時間を取り戻したい

という願いもありました。

 

とはいえ退職時には

「心からやりたいと思える仕事」の

具体的なイメージはありませんでした。

 

融資や資産運用については

多少の自信がありましたが、

もう金融の仕事はしたくない。

 

 

 

何らか世のため、

人のためになる仕事を

したいという思いはあるけれど、

 

じゃあいったい何をしようか……

退職してからの1年間は、

震災被災者の就学支援をする

NPOに参加したり、

 

失業保険の給付を受けたりしながら、

「次」を模索する日々が続きます。

 

道筋が見えたのは、

ハローワークのセミナーで勧められた

「キャリアの棚卸し」をしてからです。

 

これまでのキャリアを振り返る中で、

ふと思い出したのが人事部で

採用業務に従事していた頃のこと。

 

 

 

融資や資産運用、海外勤務などが長く、

採用業務を担当したのは数年でしたが、

 

希望に燃える大学生と面談し、

彼らの将来、

会社の将来の両方を考えながら採用を検討する。

 

のちに採用した社員が活躍している姿を見て、

「私の目に狂いはなかった」とほくそ笑んだり、

 

「あのときに採用してもらったから

いまがあります!」と感謝されたり……。

 

 

 

これが山際さんのキャリアの中でもっとも楽しく、

心からやりがいを感じることができた

仕事だったのです。

 

世の中を見渡せば、

若者の非正規雇用や早期離職が

社会問題化していることもあり、

 

「若者の就職活動を支援する」

という仕事には大きなやりがいがありそうでした。

 

「心からやりたいと思える仕事」に

気づいた山際さんはさっそく専門学校に入学。

 

61歳にしてキャリアコンサルタントの

資格を取得しました。

けれども実務経験はなく、

自身で顧客を集めるノウハウもない。

 

 

そこでシニアの就業を支援する

派遣会社に登録をします。

 

登録後、

30件ほどマッチングの不成立が

続きましたが気長に待ち、

 

やがて大学のキャリアセンターでの

学生の就職支援、

勤務は週1~3日という理想的な

仕事が舞い込んできたのです。

 

 

こうして山際さんは、

キャリアコンサルタントとして

大学生に向き合いながら、

 

学生時代にあきらめた

クラシックギターを習ったり、

 

家族と旅行を楽しんだりと充実した

日々を過ごしています。

 

派遣は「雇われない働き方」ではありませんが、

はじめの一歩として活用するのは良い方法です。

 

 

<参考:河野 純子

ライフシフト・ジャパン取締役CMO>