
「DOSスイッチ」で
ストレスを受けづらくする
「辛いことがあったけれど、
楽しい動画を観たら気分が変わった」。
そんな経験はありませんか?
これは、専門用語で「打ち消し効果」といい、
ドーパミン、オキシトシン、セロトニンを中心とした
脳内物質がストレスをリセットするために起こります。
大切なのは、
脳内物質が出やすい脳の状態をつくること。
すると脳内物質が、
ストレスを受け扁桃体で燃え上がった炎を、
まるで消火器のように消してくれるのです。
私はこれを「DOS(ドーパミン、オキシトシン、
セロトニン)スイッチ」と呼んでいます。
DOSスイッチが入ると、
リラックスしつつも集中力が高まり、
仕事の効率が上がってストレスを受けづらくなります。
私はよく現場でクライアントに
DOSスイッチを入れてもらっていますが、
それにより、短い時間のフロー
(マイクロフロー=ゾーン状態)に入る頻度が、
1日あたり10〜25%ほど増えることも確認しています。
では、簡単に実践できる
「DOSが出やすい脳をつくる方法」をご紹介しましょう。
◎ドーパミンを出す方法
・かわいいものにふれる
・複数のものから選ぶ(ショッピング、ブッフェ、ネット検索など)
・好きな音楽を聞く
・体を動かす
・予想以上の結果に触れる(スポーツ観戦、ゲームなど)
・一番いいところで作業をやめる
・笑顔をつくる
・自分の顔を見る
・メリットを書き出す
・カフェインを適度に摂る(ドーパミン受容体が活性化)
・十分な睡眠をとる(ドーパミン受容体が活性化)
◎セロトニンを出す方法
・運動する
・おいしい食事をよく噛んで味わう
・太陽の光を浴びる
・オキシトシンを出す
◎オキシトシンを出す方法(セロトニン分泌にも関係)
・フードシェアリングをする(鍋やピザなど同じ食事をみんなで分ける)
・甘いものを食べる
・ラベンダーの香りを嗅ぐ
・ゆっくりしたテンポの曲を聴く
・人の声で励ましてもらう
・小さな親切をする
・ペットを飼う
・ハグする
「推し」の写真を
見るだけでも効果あり
こういった行動をとると、DOSが出るため、
扁桃体の活動がおさまりやすく、
マイナスな気持ちがリセットされます。
たとえば、
仕事でストレスがあるときにネットで
旅行の検索をすると、
複数の選択肢の中から「どこに行くか」
「どうやって行くか」を選ぶことになるため、
ドーパミンが出ます。
すると、ストレスが打ち消されるだけでなく、
DOSが出た状態で仕事をすることができるのです。
私は以前の職場で、午後に眠くなったとき、
そのまま根性で仕事を続ける習慣があったのですが、
ダラダラと仕事をしてしまうため、
結局効率が上がりませんでした。
しかしそんなとき、
「今年はどこに旅行に行こうか」とネットで数分検索したり、
コーヒーを飲んだり、人と話したりすると、
先ほどまでの眠気がスッキリなくなって、
良い気持ちで仕事に臨むことができ、
意外と早く作業が終わりました。
DOSが出たおかげで、
マイナスなストレスが消え、
仕事の生産性が上がったのです。
好きなアイドルがいる人や推し活をしている人は、
推しの人やキャラクターの写真や
映像を見ることでもドーパミンが出ます。
また、よくインスタのリールを見ているうちに、
時間が過ぎてしまうことがありますが、
これはドーパミンが出ることで
次も見たいという意欲が溢れているからです。
「場所細胞」を活性化し、
ストレスから距離を取る
場所を変えることも、
脳にとって大きなプラス効果があります。
仕事に行き詰まったとき、
カフェに行ったりホテルの
ラウンジに行ったりすると気分が変わり、
いいアイデアが浮かぶことがあります。
体を動かすことでドーパミンやセロトニンが分泌され、
さらに太陽の光を浴びたり作業を
途中でやめたりすることによって打ち消し効果が起き、
扁桃体の炎が鎮火されるからです。
また、旅行に行くと、
仕事で悩んでいたことがちっぽけに
感じることがあります。
場所を変えると脳の中の「場所細胞」が活性化し、
ストレスの原因から物理的・心理的に
距離を取ることができ、
客観的に物事を見られるようになるからです。
この効果を専門用語で
「オーバービューエフェクト」といいます。
特に自然の中で過ごすと、
1時間あたり21.3%もコルチゾール(ストレスホルモン)が
低下することがわかっています。
もっとも効果的なのは、
自然の中で20〜30分過ごすことです。
午前中に嫌なことがあっても、
昼休みに公園などで過ごすと、
ストレスが打ち消される効果があります。
30分ごとに2〜3分、
場所を変えて軽い活動をするだけで、
身体や精神の状態が大幅に改善しやすくなるのです。
なお、4日間旅行をすると、
ストレス解消効果が最大45日間持続することが
研究でわかっていますが、
実際に移動しなくても、
場所チェンジによる打ち消し効果を得ることは可能です。
たとえば、
「デスクでサンドイッチを食べながら旅行サイトを開き、
沖縄の青い海、北海道の雪景色、
京都の古い街並みなどを眺める」といった具合に、
頭の中で場所を変えることを想像するだけで、
実際に移動したときと同じように
場所細胞が活性化することが、
最新の研究でわかっています。
嫌なことがあったら
「違う階のトイレ」へ行く
私自身、
毎年必ず「年に数回の旅行」を頭の中で計画します。
]
計画を立てるだけで、
脳は「もうすぐあの場所に行ける」と認識し、
ストレスが軽減されるのです。
講演会の参加者からも、
「今度行きたい場所を決め、その周辺について調べ、
ホテルやレストランを探していると、
午後の仕事が捗る」といったご感想をよくいただきます。
場所を変えることは、
脳のDOSスイッチを入れ、
扁桃体を守ることだといえます。
・嫌なことがあったら、違う階のトイレへ行く
・昼休みは5分でも外に出る(無理なら窓から外を眺める)
・ストレスが強いときは、1~2か月後の旅行を計画する
・旅行サイトで、行きたい場所の写真を10分間眺める
・デスクに、旅行先の写真を貼っておく
など、
ストレスを感じたときは同じ場所で考えず、
場所を移動してみてください。



