「泥水」で満たされた頭を
「澄んだ水」の状態にするには?
ライフコーチの答えがもっとも過ぎた。
悩みが多いと、
とにかくそれらのことばかりを考えてしまう。
しかし、その「考える」ということが、
実はすべての苦しみの根本原因なのだ。
ライフコーチでありビジネスコーチでもある著者が、
不安や後悔のループから解放されるやり方を提示する。
「考える時間」を
意識的に減らしてみる
考えるのを完全にやめるのは不可能ですが、
考える時間を減らすことはできます。
そうやって日を追うごとに考える
時間を少なくしていけば、
やがて1日の大半を思考にとらわれずに過ごし、
ほとんどの時間を幸せに満ちた
状態で生きられるようになります。
私たちが「考えるのをやめたい」と言うと、
多くの人はたいてい、
すべての考えをやめようとしていると勘違いします。
これは私たちが目指していることではありません。
「考え」と「考えること(思考)」の
違いはもうおわかりですね。
私たちは、
浮かんだ考えについて「考えること」は
最小限に抑えて、
「考え」だけが次々と浮かんでは
あふれてくる状態を目指しているのです。
考えるのをやめることについて、
最も興味深く逆説的とも言えることがあります。
それは、
考えることを最小限に抑えるには
それを意識するだけでよく、
他には何も必要ないということです。
自分が考えているということ、
それがすべての苦しみの
根本原因であることを意識すれば、
私たちはおのずとその事実を自覚します。
そして、思考にとらわれなくなり、
思考を落ち着かせてやり過ごすことが
できるようになります。
労力はほとんどいりません。
純粋に「今、ここ」に心を置くだけでいいのです。
ストレスや不安だらけなのは
あなたの思考が頭を濁らせるから
ではここで、
私のメンターの1人から教わった、
この概念を説明するたとえ話を紹介しましょう。
次の質問に答えてください。
Q.汚く濁った泥水の入ったボウルを
私があなたに渡すところを想像してください。
その水を澄んだ状態にするようにお伝えしたら、
あなたはどうしますか?
先に進む前に、
15秒かけてどんな答えが
思い浮かぶか確かめてください。
ほとんどの人は、
水をろ過したり煮沸したりといった方法を口にします。
泥水の入ったボウルをしばらく放っておくと、
泥が自然に水の底に沈み始め、
やがて水が自然と澄んでくることに、
大半の人が気づきません。
私たちの頭の働き方もこれと同じです。
「ろ過」や「煮沸」を試みて思考を乱すのではなく、
そのまま放っておけば、
思考は自然に落ち着いて、
私たちの頭は思考から解放されます。
水の自然な状態は澄んでおり、
私たちの頭の中の自然な状態も、
自分で乱さない限り澄んでいるのです。
人生が不透明で混乱し、
ストレスに満ちていると感じ、
次に何をすべきかわからない場合、
それはあなたの思考が泥をかき回して
頭の中を濁らせ、
前を見えづらくさせているからに
すぎないことがもうおわかりでしょう。
あなたはこの状態を、
自分が考えすぎていることに気づくための
指標として用いることができます。
自分が考えていることしか感じられず、
考えることが不快な経験の
根本原因であることを意識すれば、
その経験をあるがままに
受け止めることができます。
そして、
干渉しないことによって思考を
落ち着かせることができ、
少しずつ頭の中を澄んだ状態に戻す
方法がわかるようになります。