
ファーストコンタクトの日に
恥をかかないために必要なのは、
地球の狭い常識ではなく、
宇宙のどこへ行っても通用する
「普遍的な教養」と「宇宙的思考法」です。
多種多様な異星人が行き交う
宇宙ステーションで繰り広げられる、
知的で刺激的な問いの数々。
宇宙で真に求められる
「本当の科学知識」とは
一体どのようなものなのか、
その知的な冒険の一端を
ぜひ覗いてみてください。
「アナタは『何』でできていますか?」
宇宙人からの思いがけない問い。この問いに答えられなければ、待つのは破滅か絶望か――。地球の当たり前が崩壊する、人類絶滅サスペンス!

地球の脊椎動物ならではの特徴
束の間、
いろいろと考えは駆けめぐりましたが、
その質問に答えること自体は簡単です。
「はい、私は左右対称です」
あなたがそう答えると、
次に試験官はこう聞いてきました。
「あなたの指は何本ですか?」
またしても意表をつかれます。
いや、これも答えるのは造作ないのですが、
あらたまって聞かれると、
頭がくらっとするような感覚をおぼえます。
また少し私から口をはさませていただくと、
地球では、
魚類を除くすべての脊椎動物の
手足の指は5本ずつです。
そう言うと、
異論が出るかもしれません。
たしかに5本指の動物は多いけど、
馬の蹄は1本指だし、
鳥の足は3本指だし、
うちで飼っている犬の後ろ足は数えたら4本指だ。
パンダの指は6本と本で読んだこともある。
例外だらけじゃないか! と。
しかし、
それらの動物もじつは5本指なのです。
そもそも「指」というものは、
魚類から両生類が進化して陸上に進出して、
胸鰭が前脚になり、
腹鰭が後脚になったときに、
鰭の骨からできたのが最初と考えられています。
無脊椎動物には指はありません。
当初は、6本指や8本指など、
たくさんの指をもつ両生類もいました。
しかし、それらは淘汰され、
なぜか5本指のものだけが生き残り、
爬虫類や鳥類、
さらには哺乳類へと5本指が
受け継がれていったのです。
馬の最古の祖先といわれている動物は5本指でした。
現在の馬は中指以外が退化して1本指となったのです。
鳥は3本指に見えますが、
後ろ向きに1本生えていて、
もう1本が退化しました。
犬や猫、あるいはカエルなど4本指に見える動物は、
いずれも1本の指が退化したもので
、多くはその痕跡が骨に残っています。
また、パンダにはたしかに6本目の指があり、
それによって食事のときに笹をしっかり支えていますが、
この指はあとから新しくできたもので、
進化的にはもとの5本の指とは別物なのです。
では、なぜ5本指なのでしょう。
それについては、じつはいまだに謎なのです。
しかし、
5本でなくてはならない強い理由が
あるとも思えません。
にもかかわらず多種多様な地球の
脊椎動物がみな5本指であることは、
いったんできあがったシステムを
変えるのは案外難しいことを示唆している気もします。
私たちは生物の設計図であるDNAを知ってから、
生物というものはわりと簡単に
デザインを書き換えられるようなイメージをもっていますが、
生きものは人工物ではないので、
自分自身を一度にすべて新しくすることはできません。
いまあるものを少しずつ変えるのは、
どうしても時間がかかるのでしょう。
同じようなことが、
哺乳類の骨格にも見られます。
知っている方も多いと思いますが、
キリンの長い首も、私たちの首も、
頸椎の数は地球の哺乳類ならすべて、
同じ7個です。
キリンの首が長いのは、
頸椎の設計が変わって個数が増えたからではなく、
単に、一つ一つが大きくなったからなのです。
この例も、
いまある設計図の根本的な変更が
いかに難しいかを物語っています。
私は、これはどの惑星の生物でも
同様ではないかと思います。
そう考えると、
原始的な生物が知的生物にまで
進化するということは、
どの惑星でも、
やはりとてつもなく大変なことに思えてきます。
では、
生物が進化するためには何が必要なのでしょうか。
面接会場の時間は少しのあいだ、
止めておきますので、もう少しおつきあいください。