2023/7/31

介護の世話にならない 鎌田式 「90歳の壁」

 

介護の世話にならない 鎌田式 「90歳の壁」

 
 
 
 

歩幅が狭い人は認知症発症リスク3倍

鎌田實が編み出した「認知症予防」に

特化した歩き方2パター 

軽度認知障害と診断される人

その12年前から歩き方に変化が起きている

 
 
人生100年時代の高齢世代に必須なのが
「うつ」「認知症」対策。
 
いずれも原因として動脈硬化や
慢性炎症が大きく関わっている。
 
諏訪中央病院名誉院長の鎌田實先生は
「知り合いの編集者は筋トレで
軽度認知症(MCI)から回復した。
 
世界的に、
運動の認知症予防・改善効果への
関心が高まっている」という。
 
 

※本稿は、鎌田實

介護の世話にならない 鎌田式

「90歳の壁」を元気に乗り越える5つの極意

 

 

「筋活」がうつを予防して

認知症のリスクを下げる

アルツハイマー病や、

脳血管性認知症の原因となる動脈硬化は、

慢性炎症がきっかけで

起こることがわかってきました。

 

慢性炎症を防ぐ効果があることが

わかっているのが運動です。

 

運動は認知症の原因であるストレスや

肥満を解消する効果があります。

 

スウェーデンの

カロリンスカ医科大学の研究によると、

筋活を行うことでうつ病を予防する

科学的根拠が明らかになりました。

 

うつ傾向のある人は、

「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの

分泌量が少ない場合が多いのですが、

その理由はセロトニンと拮抗きっこうする

キヌレニンという悪玉物質が

増えるからだといわれています。

 

 

筋肉を動かすと、

このキヌレニンが分解されることが

この研究で明らかになりました。

 

キヌレニンが分解されれば、

相対的にセロトニンが多くなります。

 

セロトニンが多くなれば、

幸せを感じやすくなるため、

ストレスが解消され、

それが認知症の予防になるというわけです。

 

筋トレしたらMCIから回復できた

 

知り合いの編集者は、

MCIと診断された経験があります。

 

敏腕編集者でしたが、

60歳を過ぎた頃からもの忘れが目立つようになり、

ズボンのチャックを閉め忘れたり、

仕事ではダブルブッキングをしたりするなど、

ミスが目立つようになったといいます。

 

大学病院で検査を受けてMCIと診断された彼は、

認知症デイケアに通い、絵を描いたり、

楽器を演奏したりして回復に努めました。

 

なかでももっとも手応えを感じたのが

筋トレだったといいます。

 

その甲斐あって、

彼は健常な認知能力にまで

回復することができました。

 

運動の認知症予防効果は、

前述の論文のほかにも、

世界中のさまざまな論文で発表されています。

 

とくにウォーキングなどの

有酸素運動と筋トレの組み合わせが

効果的といわれているので、

「筋活」をしっかり続けてください。

 

認知症予防のために筋活を続けています。

 

 
 

MCIから認知症に移行することも

 
 

コグニサイズでMCIが40%回復

 

また、

運動とゲームを組み合わせた

認知機能を高めるトレーニング法が

「コグニサイズ」です。

 

コグニション(認知)と

エクササイズ(運動)を

組み合わせた造語で、

頭で考えながら、

同時に体を動かすことで、

脳と体の機能を効果的に

向上させることができます。

 

コグニサイズを行って、

MCIが40%回復したという報告もあります。

 

コグニサイズは

「正解を出そう」とするプロセスが重要です。

楽に正解が出るなら、脳の刺激にはなりません。

ですから、

だんだん難易度を上げていく必要があります。

 

図表1は、

私が主催する佐賀の鎌田塾で行っている

「干支」をテーマにした「コグニサイズ」の一例です。

 

レベル1からレベル7までの難易度を設定していて、

レベルを上げていくことで、脳トレ効果も高まります。

 

 

【図表1】干支のコグニサイズの一例
 
 

コグニサイズは、

正解を出そうとして、

ゆっくり回答していては効果が期待できません。

 

間違えることは気にせず、

むしろ間違えるくらいの速さで行うことが重要です。

 

介護の世話にならない 鎌田式「90歳の壁」を

元気に乗り越える5つの極意』を参考に、

まずはレベル1からテンポよく始めてみましょう。

 

65歳以上の人のMCIの割合は

15〜25%と推定されていますが、

自分がMCIであることに気づかないままに

なっている人が多いといわれています。

 

症状がひどい場合は、

専門医を受診したほうがよいでしょう。

 

高血圧や糖尿病などの生活習慣病のある人は、

MCIから認知症へ移行しやすいといわれています。

 

これらの生活習慣病は

メタボから発症することが多いので、

肥満の人も注意が必要です。

 

MCIは認知症の予備軍といわれていますが、

必ずしも全員が認知症に

移行するわけではありません。

 

ある研究によれば、

生活習慣を改善すれば、

約半数は健常な認知機能に

回復できると報告されています。

 

認知機能を高めるトレーニングとしては、

絵を描いたり、

楽器を演奏するのが

効果的だといわれています。

 

また、新聞や本を読んだり、

ゲームをしたりするのも

認知機能の向上によいとされています。

 

 

 

ウォーキングを行うと認知症の

予防によいことも、

世界中の論文で明らかにされています。

 

認知症予防のためには、

ふつうのウォーキングでも

十分効果がありますが、

より認知症予防に特化した

歩き方を考えてみました。

 

1つは幅広歩行

国立環境研究所の研究によると、

歩幅が狭い人は広い人に比べ、

認知機能低下のリスクが3倍以上になり、

歩幅が狭い状態のまま年齢を重ねると

認知症発症のリスクが2倍以上に

なることを明らかにしています。

 

 

認知症予防に効果的といわれる「幅広歩行」をする鎌田實さん
 
 

もう1つは、

ピッチ歩行

アメリカの

オレゴン健康科学大学の研究グループによると

MCI(軽度認知障害)と診断された人は、

健康な人に比べて歩行速度が

毎年1秒あたり0.01秒遅くなり、

また歩行速度の低下は、

MCIと診断されるより平均で

約12年前から表れることもわかりました。

 

そこで速く歩くためのピッチ歩行です。

 

「幅広歩行」「ピッチ歩行」の詳しいやり方は、

 

 

 コグニサイズでMCIが40%回復

 

また、

運動とゲームを組み合わせた

認知機能を高めるトレーニング法が

「コグニサイズ」です。

 

コグニション(認知)とエクササイズ(運動)を

組み合わせた造語で、

頭で考えながら、

同時に体を動かすことで、

脳と体の機能を効果的に

向上させることができます。

 

  

 

脳活には食べ物も重要です。

 

私は、腸の働きをよくする「腸活」として

1日350g以上の野菜をとることを

おすすめしていますが、

野菜は認知症予防にも効果的なのです。

 

 

アメリカの

ヴァンダービルト大学の研究では、

野菜ジュースを週3回以上飲む人は、

1回以下の人よりも、

アルツハイマー型認知症の発症率が

76%も少ないと報告しています。

 

アルツハイマー病は、

脳細胞の慢性炎症がきっかけで

起こるといわれていますが、

この慢性炎症を野菜の色素成分がもつ

抗酸化作用が抑えてくれると考えられています。

 

野菜ジュースは自分でつくって

飲むのが望ましいのですが、

忙しい人なら市販の野菜ジュースでも

よいでしょう。ただし、

糖分のとりすぎを防ぐため、

商品を選ぶときは無糖のものにしてください。

 

魚も認知症予防に効果的な食べ物です。

 

魚介類の摂取量が多いほど

認知症のリスクの低下がみられ、

魚をもっともよく食べている人は、

15年後の認知症のリスクが

61%低下したというデータもあります。

 

魚の油に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)や

EPA(エイコサペンタエン酸)が

認知症を防ぐといわれています。

 

 

卵黄のコリンが神経伝達物質の

材料になり認知症を防ぐ

 

卵も認知症予防に有効です。

卵はたんぱく質が多く、

筋活にもうってつけです。

 

 

鎌田實『介護の世話にならない 鎌田式「90歳の壁」を元気に乗り越える5つの極意』(エクスナレッジ)
 
 

「卵は1日1個まで」といわれていたのは昔の話。

 

食事でコレステロールをとっても、

血中コレステロールはほとんどの人が

上がらないことがわかっています

。僕も毎日1〜3個の卵を食べていますし、

患者さんにも

「2個くらい食べても大丈夫」と言っています。

 

卵のよい点は、

卵黄の部分にコリンが含まれていること。

 

コリンは体内に入ると脳の

神経伝達物質の材料になります。

 

フィンランドで行われた研究でも、

食事からコリンを多くとっている人は、

少ない人に比べて、

認知症リスクが28%低く、

記憶力と言語能力を測定するテストも

優れていたと報告されています。

 

コリンは卵黄のほか、

大豆や牛肉、鶏肉、鶏レバー、エビ、ピスタチオ、

ブロッコリーなどにも多く含まれています。

牛丼を食べるときは、

温泉卵を1つ加えると、

脳によい食事になります。

 

 

<参考:文=> 

 

 

1喧嘩はするな、
2意地悪はするな、
3過去をくよくよするな、
4先を見通して暮らせよ、
5困っている人を助けよ、

 


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