2025/12/29

「血管年齢」を若く保つ方法. 日本人の4分の1は 血管の病気で死亡

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「血管年齢」を若く保つ方法.

日本人の4分の1は

血管の病気で死亡

 
 
 

寝たきりで要介護になるリスクを下げたければ、

血管をできる限り若く保つことは外せない。

 

なぜなら、

寝たきりの原因となる病気に

血管の劣化が大いに関係しているからだ。

 

国立循環器病研究センター名誉院長の

小林順二郎医師(心臓血管外科医)に話を聞いた。

 



介護や支援が必要となった原因トップは

認知症で16.6%──。

 

これは厚生労働省の「国民生活基礎調査」

(2022年)による結果だ。着目したいのは、

2位に脳血管疾患(脳卒中)16.1%、

6位に心疾患(心臓病)5.1%、

8位に糖尿病2.9%がランクインしていること。

 



認知症には、

脳卒中など脳の血管の障害で脳細胞が

ダメージを受け認知機能が

低下する血管性認知症が含まれている。

 

脳卒中が脳血管の障害であることは言うまでもなく、

心臓病は血管と密接に関わる病気であり、

糖尿病は慢性的な高血糖で全身の血管を傷つける。

 

要介護・要支援の原因の複数が

血管と切っても切れぬ関係であることを見ると、

血管をできる限り若く保つ努力をすれば、

要介護・要支援のリスクを下げられる可能性が高いのだ。

 



「死因とも血管は関係しています。

日本人の4分の1は血管の病気で死んでおり、

これはがんよりも多いのです」

 

 

今度は厚労省の日本人の死亡原因を見てみよう。

 

2023年の結果では、

1位はがん(24.3%)、

2位が心疾患(14.7%)、

3位が老衰(12.1%)、

4位が脳血管疾患(6.6%)。

 



「2位の心疾患と4位の

脳血管疾患を合わせると21.3%にもなり、

 

1位のがんの死亡率に迫ります。

 

さらに腎不全(1.9%)や

大動脈瘤および解離(1.3%)など

血管に関連する死亡を含めると全部で25%となり、

がんの死亡率を超えてしまうのです」

 



心疾患や脳血管疾患などは、

血管の老化が直接関係する病気。

 

糖尿病の合併症や血管障害による

多臓器不全など間接的に

血管が関わる死亡を含めれば、

その割合はもっと高くなる。

 



そして忘れてはいけないのは、

血管が関係する病気は、

 

食生活が制限されたり、

複数種類の薬を毎日飲まなければならなかったり、

 

発作の後遺症で自在に動けなくなったり……

といった事態も招く。

 

健康で楽しく生きていきたい」と思うのであれば、

「血管の健康を守ることこそ、

非常に大事」としっかり認識すべきなのだ。

 



血管の健康を守る、

すなわち、

“血管年齢”をできる限り若く保つこと。

 

血管年齢は、

血管の硬さ(動脈硬化)とほぼイコールだ。

 

動脈硬化が進むと、血圧が高くなり、

傷つきやすくなる。血管が傷つくと、

炎症が起こって血管壁が厚くなり、

血小板が集まって血栓ができやすくなる。

 

一連のサイクルは、

脳卒中心臓病のリスクを上げる。

糖尿病、脂質異常症、

慢性腎臓病など現代人に多い病気は、

動脈硬化の進行を加速させる。 

 

 

 

■老化を進ませる12項目



血管がどの程度老化しているかを

知ることができる検査がいくつかある。

 

動脈硬化が疑われる病気があれば

保険適用となる頚動脈エコーは、

比較的簡単に受けられ鋭敏な検査である。

 



 ただ、わざわざ医療機関へ

検査を受けに行くのも面倒という人もいるのでは? 

 

小林医師は著書「血管年齢」

(文春新書、2025年)で

 

40年以上の臨床経験と最新の

医学知識を組み合わせて作成した

 

血管年齢チェックシート

「小林式スコアリング・システム」を

紹介している。

 

ここではもっと簡単に血管の老化を

調べられるチェック項目を挙げよう。

 

点数が多いほど、

血管の老化が進んでいると考えられる。

 



●現在喫煙しているか
●両親に心筋梗塞脳梗塞発症者がいるか 
糖尿病があるか
脂質異常症があるか
●高血圧があるか
肥満があるか
運動習慣がないか
●外食やコンビニ食が多いか
●ラーメンのスープを結構飲むなど、しょっぱいものを頻繁に取るか

 

 

●1日日本酒3合以上に該当する量の飲酒をしているか
睡眠中にいびきをかいているか
●歯茎から出血がよく見られるか

 



「血管年齢は見た目の若さとは一致しません。

 

もしかしたら自分の血管年齢が

想像以上に上かもしれません。

まずは自分の血管の状態がどの程度かを知るべき。

 

その上で対策を講じれば、

5年後、10年後の血管年齢を、

実年齢より若い状態にできる可能性が高くなります」

 



前出のチェック項目は、

いずれも血管の老化を促進させる要因。

 

それぞれの対策を講じれば、

血管を若く保つことができる。



「すべてをやるのは現実的に難しいでしょう。

 

重要なのは継続すること。

1つでもいいから、

できることを増やしていくようにしてください」

 

 

<参考:小林順二郎医師>