2024/9/10

"ヨボヨボ歩き"は15歳も寿命が短い…

 
 
 
 
 
 
 
 
 

"ヨボヨボ歩き"は15歳も寿命が短い…


秒速1.6mの人の寿命は95歳、

では寿命が短い80歳の人の歩行速度とは

1日500歩でも歩くと心疾患の

死亡リスクが7%下がる

 
 
 
 
健康維持のために効果的といわれているウォーキング。
 
そのペースはどれくらいがいいのか。
 
 
和田秀樹さんは「早歩きと寿命の関連性
 
についての研究調査によると、
 
 
自己申告で歩くのが速い人と
 
ゆっくりの人の寿命は男性で20歳以上、
 
女性は15歳ほど違うという結果になった」という。
 
 
 

 

杖を持って歩いている老人の足元
 
 

運動習慣ならやはりウォーキングがおすすめ。

まず500歩を継続目標に

 
 

健康維持のために効果的

といわれているのがウォーキングです。

 

基本的には“歩く”だけで、

簡単かつ心拍数が上がって血流が良くなり、

血糖値も下がり、

内臓脂肪の燃焼や下半身の筋肉を

鍛えられる等々の多くのメリットがあります。

 

 

「1日1万歩」という目標が知られていますが、

これをクリアするのは至難のワザでしょう。

 

そこでお伝えしたいのが、

無理をして1万歩を目指す必要はないということです。

 

それほど歩かなくても健康効果は十分

得られるという研究が近年出ています。

 

 

アメリカの研究では、

8000歩くらいまでは、

歩けば歩くほど寿命が延びる傾向にあり、

 

それ以上ではあまり変わらないという

報告が出されています。

 

 

日本では、

群馬県中之条町の高齢者5000人を対象に、

15年にわたって生活行動データを集めた

「中之条研究」が知られています。

 

この研究によると、

1日に20分間の早歩きウォーキングを数回行い、

そのトータルを8000歩にするのが

ベストだと結論づけられています。

 

 

しかし、

結局1日に8000歩も歩くのは

難しそうと思う人もいるでしょう。

 

 

ポーランドのウッチ医科大学の研究では、

1日に1000歩多く歩くだけで、

何らかの原因で死亡するリスクが15%

低下することが明らかになったそうです。

 

1000歩が難しい場合は、

500歩でも歩くと、

心疾患の死亡リスクが7%下がるとのこと。

 

まずは500歩、そ

して1000歩増やすことから

始めてみてはいかがでしょうか。

 

健康長寿を手に入れた人は、

早死にする人と比べると、

毎日歩いていることは確かなようです。

 

 

 

 

早歩きの人はゆっくり歩く人よりも長生き⁉

 
 

歩くことの健康効果をいくつか紹介していますが、

早歩きと寿命の関連性についての

研究調査があるので紹介しましょう。

 

 

47万人以上を調べたという大規模な調査研究では、

「歩くのが速い」と自己申告した

男性の推定寿命は85.2〜86.8歳、

女性は86.7〜87.8歳とされたそうです。

 

 

これに対して、

「ゆっくり歩く」と答えた

男性の推定寿命は64.8歳で、

女性は72.4歳。

 

男性では20歳以上、

女性は15歳ほど寿命が違うという結果になっています。

 

 

別の研究で、

65歳以上の男女約3万5000人を

対象にした大規模な調査でも、

同じような傾向が報告されています。

 

男性の場合、

秒速1.6m(時速5.76キロ)で歩く人の

平均寿命は95歳以上と非常に長い。

 

 

一方、

秒速0.8m(時速2.88キロ)なら平均寿命は

約80歳と、15歳以上も短くなりました。

 

速く歩く人は長く生き、

ゆっくり歩く人は早死にするという傾向なのです。

 

 

 

杖を持って歩いている老人の足元
 
 

 

お茶の水女子大学の研究では、

歩く習慣はコレステロールの数値にも

影響を与えることがわかっています。

 

1日30分以上、週に計2時間以上、

早歩きウォーキングをしている人は、

動脈硬化を抑える働きのある

HDL(善玉)コレステロールが増加したという

結果が出ました。

 

つまり、

早歩きは心臓病や脳卒中のリスクが低下する

ということですが、

寿命は長くなるかどうかはわかりません。

 

 

こうした早歩きと寿命の研究結果は

数多く発表されています。

 

ちょっと汗をかくくらいの早歩き

ウォーキングを習慣にすれば、

健康効果を得られて、

寿命が延びる傾向になるというわけです。

 

 

心や脳がリフレッシュ

「のんびりお散歩」の

長寿効果はあなどれない

 
 

前項まではウォーキング、

そして早歩きについて紹介してきました。

 

それとはほぼ逆ですが、

より高齢の方へは、

 

「のんびりお散歩」も

おすすめしたいところです。

 

 

のんびりといっても、

散歩は足腰を鍛えるだけでなく、

心肺機能や代謝機能を高めるなど

適度な運動になりますし、

 

とくに晴れた日は、

日光を浴びることができます。

 

 

高齢の方はカルシウム不足になりがちで

骨がもろくなる“骨粗鬆症”など

よく聞かれると思いますが、

 

日光を浴びるとカルシウムの吸収率を

上げるビタミンDが体内で生成されます。

 

 

散歩帰りにカルシウム豊富な

食品を食べたりすると、

よりカルシウム不足を解消でき、

 

骨を強化しやすくなるわけです。

 

散歩という運動も骨の強化には欠かせません。

 

ビタミンDは脳の認知機能にも影響するので、

日光を浴びる習慣は老後の生活で

より重要になっていくでしょう。

 

 

またもうひとつ、

日光を浴びると幸せホルモンの

セロトニンが体内に分泌されます。

 

 

 

ウォーキングや話をするカップル
 

 

 

お肉を食べる(たんぱく質を摂取する)と

豊富になるセロトニンです。

 

歳を重ねるごとにセロトニンの分泌量は

減っていきますが、

その対策として効果的なのが

「たんぱく質の摂取量を増やすこと」と

「日光を浴びること」なのです。

 

セロトニンが分泌されると幸福感が増して、

気持ちも晴れて明るくなるでしょう。

 

そんな気持ちで、

散歩道や公園などのさまざまな草木や花々を見て、

季節の変化を楽しんだり、

昨日までとは違う小さな変化など

発見できれば楽しいものです。

 

のんびり考え事をしながら歩いているうちに

活性化された脳から素晴らしい

アイデアが浮かんでくるかもしれませんよ。

 

 

自然の力で、

ストレスを解消し老化も防止。

気力と若々しさが復活

 
 

散歩をしながら日光を浴びると幸せホルモンの

セロトニンが分泌されると紹介しました。

 

太陽の光には、

心身を活性化させる力があるといわれています。

 

セロトニンの分泌もその一つですが、

日の光はアンチエイジングに効果的です。

 

 

北欧では、

冬の間の日照時間が4時間ほどと

極端に短くなるのですが、

 

この時期に、

うつ状態に陥る人が続出します。

 

やがて春が訪れて日照時間が長くなると、

元気を取り戻す人が増えていくそうです。

 

 

また、日の光を浴びると体内でビタミンDの

合成が進みます。

 

ビタミンDは「カルシウムの運び屋」とも

呼ばれるビタミンです。

 

カルシウムは骨を強化し、

骨粗鬆症のリスクが低くなりますが、

 

そのカルシウムには精神を安定させる働きもあり、

その意味でも高齢の方の健康維持や

メンタルの安定に効果があるわけです。

 

 

日の光とともに、

自然の働きで身体やメンタルに

効果的なのが「森林浴」です。

 

森や林には、

確実に人の心を落ちつかせる効果があります。

 

 

 

和田秀樹『老けない習慣ベスト100』(総合法令出版)
 

 

 

森林浴の効用が発見されたのは、

19世紀のドイツで、

森に囲まれたサナトリウム

(結核などの療養所)でしばらく過ごすと、

 

軽い精神疾患が治癒するケースが

多いことがわかったのです。

 

 

その後、

「フィトンチッド」と呼ばれる香気成分が、

副交感神経を刺激し、

精神を安定させることがわかってきました。

 

森の香りには、

アロマテラピー以上に、

メンタルを鎮静化させる作用があるのです。

 

 

森まで出かける時間や体力がないという人は、

家庭菜園やガーデニングに取り組むといいでしょう。

 

精神的に落ち込んでいるときでも、

土いじりをすると、

気持ちが和み、穏やかになれるものです。

 

家庭菜園は、

前頭葉を鍛え、

感情の老化を予防することにも役立ちます。