2024/11/3

「焼肉×白米は最強なのに…」 焼肉には発がん性があり、 白米は糖尿病や脳卒中の リスクを上げる…

 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

「焼肉×白米は最強なのに…」

焼肉には発がん性があり、

白米は糖尿病や脳卒中の

リスクを上げる…

最新のエビデンスに基づいた

“本当に身体に悪い食べ物”とは

 
 

「焼肉に白米」という黄金の組み合わせを

好きな人も多いだろう。

 

しかし、

国際がん研究機関(IARC)が

「牛肉や豚肉には発がん性リスクがある」と

 

発表したことをご存じだろうか? 

 

しかも焼いたものの方がリスクが高いという。

 

そして白米もまた、

病気のリスクを高めることが分かっている。

 

 

 
津川友介

私たちは何を

食べるべきではないか

 

人間の健康にとって、

日々何を食べるかは非常に重要である。

 

私たちは何を食べ、

何を食べるべきではないのだろうか。

 

 

ずばり、

数多くの信頼できる研究によって

健康に悪いと考えられている食品は、

 

①赤い肉(牛肉や豚肉のこと。

鶏肉は含まない)と加工肉(ハムやソーセージなど)、

②白い炭水化物、

③バターなどの飽和脂肪酸の3つである。

順に説明していきたい。

 
 
 

① 牛肉・豚肉・ハムなど

 

2015年10月、世界保健機関(WHO)の専門組織、

国際がん研究機関(IARC)が、

「加工肉には発がん性があり、

赤い肉にはおそらく発がん性がある」と

発表[*1]した。

「加工肉」とは具体的にはハム、

ソーセージ、ベーコンなどのことである。

 

 

 

「焼肉×白米は最強なのに…」焼肉には発がん性があり、白米は糖尿病や脳卒中のリスクを上げる…最新のエビデンスに基づいた“本当に身体に悪い食べ物”とは_1

 
 

詳細に説明すると、

IARCは加工肉をグループ1(人に対して発がん性がある)、

赤い肉をグループ2A(おそらく発がん性がある)に分類した。

 

グループ1は発がん性のエビデンスが

最も強いグループであり、

このグループに分類されるものには

他にタバコやアスベストなどがある。

 

また、グループ2Aに分類されるものには臭化ビニル、

アクリルアミドなどがある(図1)。

 

加工肉は、

1日あたりの摂取量が50g(ソーセージ1本、

ベーコンスライス2枚)増えるごとに、

大腸がんのリスクが18%増加する。

 

また、赤い肉は、1日100g摂取するごとに

大腸がんのリスクが17%増加する。

 

大腸がんは日本人に急増しているがんで、

がんにかかる人数(罹患数)では男性で胃がん、

 

肺がんに次いで3位、

女性では乳がんに次いで2位となっている(2015年時点。図2)。

 

 

「焼肉×白米は最強なのに…」焼肉には発がん性があり、白米は糖尿病や脳卒中のリスクを上げる…最新のエビデンスに基づいた“本当に身体に悪い食べ物”とは_2

 

 

日本人を対象にした国立がん研究センターの研究[*2]もある。

岩手から沖縄まで広い地域に住む45〜74歳の

約8万人を8〜11年間追跡したものである。

 

結果、赤い肉や加工肉の摂取量が多くなるほど、

大腸がんのリスクが高くなる傾向が認められた。

 

加工肉に関しては、

摂取量の多い人と少ない人の間で統計的に

有意[後注1]な大腸がんリスクの

違いは得られなかったものの、

全体的な傾向としては摂取量が多い人ほど

大腸がんのリスクが高いという結果であった。

 

 

赤い肉や加工肉を食べることで

大腸がんのリスクが上がる理由として、

①ヘム(赤い肉に含まれる赤い色素)、

②硝酸塩・亜硝酸塩(加工肉の鮮度維持や防腐目的で使用される)、

③ヘテロサイクリックアミン(複素環式アミン)・

多環式アミン(肉を高温調理する際に生成される)の

3つが関与していると考えられる。

 

 

硝酸塩・亜硝酸塩は加工肉のみに含まれるため、

加工肉の方が赤い肉よりも

健康への悪影響が大きいと考えられている。

 

 

ヘテロサイクリックアミンなどは

肉が焦げた部分に特に多く含まれる。

 

よって同じ赤い肉でも、

焼肉やバーベキューのように直火で

高温調理したものの方ががんの

リスクをより高めるとされている。

 

 

その他の病気のリスクはどうだろうか。

 

世界に目を向けると数多くの研究が実施されている。

 

9つの論文を統合した研究[*3]によると、

加工肉の摂取量が多い人ほど、

全死亡率(原因にかかわらず死亡する確率)、

脳卒中や心筋梗塞など動脈硬化による病気での死亡率、

がんによる死亡率がいずれも高いことが明らかになっている[後注2]

 

5つの論文をまとめた別の研究[*4]によると、

加工肉の摂取量が1日あたり50g増えるごとに

脳卒中を起こすリスクが13%増加し、

赤い肉の摂取量が1日あたり100〜120g増えるごとに

脳卒中のリスクが11%上がることが示唆されている。

 

 

赤い肉や加工肉の摂取量をゼロに

するべきであると言うつもりはないものの、

 

健康に悪い可能性があることをきちんと

理解した上で、

たしなむくらいの控えめの

量を楽しむことをおすすめする。

 

さらには、

赤い肉を食べるにしても高温調理

(焼肉やバーベキューなど)ではない調理法を選択し、

また焦げた部分は避けた方がよいだろう。

 

 

 

 

健康に悪い食べ物

② 白い炭水化物

 
 

「白い炭水化物」とは、白米、うどん、パスタ、

小麦粉を使った白いパンなどの

「精製された炭水化物」のことを意味する。

 

 

精製とは、

食べにくい部分や食味の悪い部分を取り除くことで、

米ならばぬかや胚芽などを取り除く精米のことを指す。

 

 
 
 
身体の中で糖に分解・吸収されるので、
 
白い炭水化物と糖は本質的には同じものだ。
 
 
 

科学的には「白い炭水化物≒糖」である。

 

つまり白いご飯も甘いお菓子も、

身体にとっては似たようなものなのである。

 

 

白米に代表される「白い炭水化物」は、

血糖値を上げ、糖尿病や、

脳卒中や心筋梗塞などの動脈硬化による

病気が起こるリスクを高める可能性が

あることが多くの研究で報告されている

(今から紹介する研究では、

白米や玄米の摂取量をグラムで表現しているが、

ご飯は茶碗に軽く盛ると1杯で約160gで、

大盛りにすると約200gとなる)。

 

 

まずは糖尿病である。

 

白米の摂取量が多ければ多いほど

糖尿病のリスクは上がることが分かっている。

 

 

2012年、

世界的にも権威のある英国の医学雑誌『BMJ』に、

白米と糖尿病の関係に関する4つの

研究の結果をまとめた論文[*5]が発表された。

 

 

それによると、

白米の摂取量が1杯増えるごとに

糖尿病になるリスクが11%増えるとされた。

 

 

 

「焼肉×白米は最強なのに…」焼肉には発がん性があり、白米は糖尿病や脳卒中のリスクを上げる…最新のエビデンスに基づいた“本当に身体に悪い食べ物”とは_3

 

 

日本でのエビデンスも見てみよう。

 

 

前述の論文でもデータの中の1つとして用いられているが、

国立国際医療研究センターの

南里明子氏(現在の所属は福岡女子大学)らが

行った日本人のデータを用いた研究[*6]によると、

 

日本人においても白米の摂取量が多ければ

多いほど糖尿病になる可能性が

高くなることが明らかになった(図3)。

 

 

論文では、

男性では白米を食べる量が1日2杯以下の

グループと比べて、

 

1日2〜3杯食べるグループでは5年以内に

糖尿病になるリスクが24%高いことが明らかになった。

 

 

その一方で、

ご飯を1日2〜3杯食べる人と、

3杯以上食べる人たちで糖尿病の

リスクは変わらなかった。

 

 

1日2杯が糖尿病のリスクが

上がりはじめる境界だと考えられる。

 

 

女性ではもっとシンプルで、

白米を食べる量が多ければ多いほど

糖尿病のリスクが高くなる。

 

白米を1日1杯しか食べないグループに比べて

(最も少ないグループの白米摂取量が

男女で違うので注意が必要)、

 

1日2杯食べるグループでは15%、

3杯食べるグループでは48%、

4杯以上食べるグループでは65%も

糖尿病になるリスクが高くなることが分かった。

 

 

ただこうした解釈は、

白米の摂取量の推定が正確であることを

前提としたものだ。

 

白米の摂取量は自己申告であるため、

記憶違いや罪悪感からの

過少申告がある可能性がある。

 

 

さらには、

1日1時間以上の筋肉労働や激しい

スポーツをする人には、

統計的に有意な関係が見られなかった。

 

 

これらのことを踏まえると、

白米を食べる量が多い人ほど、

糖尿病になってしまう確率が高くなる傾向が

確認できた、

 

というざっくりとした理解に留めるのが無難だろう。

 

 

個人的には、

白米を食べる量は控えめにするのが良いと考える。

 

 

糖尿病の家族歴があると

糖尿病になる確率はさらに高まるので、

 

リスクを下げるためにもできるだけ

白米などの白い炭水化物は減らした方が良いだろう。

 

 

どうしても白米を食べたい人は、

毎日1時間以上の激しい運動をすることで、

糖尿病のリスクを上昇させずに済むだろう。

 

 

ちなみに、

2016年に『BMJ』に報告された複数の

論文を統合した研究[*7]によると、

 

白米の食べすぎは糖尿病のリスクを

上げるものの、

がんのリスクを上げることはなかった。

 

 

 

健康に悪い食べ物

③ バターなどの飽和脂肪酸

 
 

油にも健康に良い油と、健康に悪い油がある。

 

一般的に、常温で固形で、

乳製品や肉などの動物性の

脂肪のことを飽和脂肪酸という。

 

 

一方で、常温で液体で、

植物に由来する油のことを不飽和脂肪酸という。

 

「焼肉×白米は最強なのに…」焼肉には発がん性があり、白米は糖尿病や脳卒中のリスクを上げる…最新のエビデンスに基づいた“本当に身体に悪い食べ物”とは_4

 

 

健康に良い油の代表格が不飽和脂肪酸の

オリーブオイルであるのに対して、

 

健康に悪い油の代表は

バターなどの飽和脂肪酸である。

 

 

バターの摂取量が多い人ほど、

わずかであるものの死亡率が高いということが

複数の研究をまとめた研究[*8]で報告されており、

 

バターは健康に悪い食品であると考えられている。

 

 

たまに楽しみとして嗜むくらいであれば

問題ないと考えられるものの、

 

日常的に使う油に関しては

オリーブオイルなど植物性の油に

することをおすすめする。

 

 

 

正しい医学知識がよくわかる あなたを病気から守る10のルール
 

 

 
後注1 「統計的に有意」とは、

偶然では説明できない強い関係性が

認められることを意味する。



後注2 アメリカ人においては赤い肉の

摂取量が多いほど死亡率が高かったが、

欧州やアジアの人では関係は明らかではなかった。

 

 

<参考:>