2025/9/28

「水は宇宙からやってきた」… 地球に海があるのは、 太陽からの 「ほどよい距離のおかげ」という、 マジに信じがたい幸運

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「水は宇宙からやってきた」…

地球に海があるのは、

太陽からの

「ほどよい距離のおかげ」という、

マジに信じがたい幸運

 
 

宇宙で唯一の生命を育んだ「海」、

あたりまえのようにそこにある「山」、

そしてミステリアスな「川」……。

 

地球の表情に刻まれた無数の凹凸「地形」。

 

どうしてこのような地形になったのかを追っていくと、

地球の歴史が見えてきます。 

 

 

 

【書影】海はどうしてできるのか
 
 
 
 
 

陸の誕生

 
 

以前の記事でご紹介した灼熱の海、マグマオーシャンは、

 

私の大好きなカレーを煮詰めたような

状態にたとえることができます。

このマグマはコマチアイト

 

 

【写真】コマチアイト
 
 

 

 

しかし、カレーも温度が下がってくると

表面から固まってきて、

 

固体のカレールーのような状態になっていくように、

マグマオーシャンにも同様のことが起きます。

 

コマチアイトが次第に冷えて固まってくるのです。

 

 

これが陸の誕生です。

地球の表面の堅いところを「陸」と定義するならば、

はじめての陸(一次的な陸)は隕石が

寄せ集まって火星くらいの大きさになったときの

地球の表面です。

 

そのあとのドロドロのカレーの表面が固まったものは、

「二次的な陸」ということになります。

地球が冷えたわけ

 
 

ドロドロに溶けるほどの高温だった地球は、

なぜ冷えたのでしょう。

 

 

それは、

宇宙空間の温度がきわめて低いからです。

 

絶対零度に近いマイナス270℃ほどに

低温であるために、

 

時間がたつとマグマオーシャンといえども、

やがては冷えて固まり、

硬い岩石にならざるをえないのです。

 

 

冷えたコマチアイト溶岩は

次第にその厚みを増していき、

 

やがてプレート(岩盤)が形成されて

地球表面を覆っていきます。

 

こうして、水の受け皿ができあがりました。

 

 

ただし、

宇宙空間がそれほどの低温でも、

地球が凍りつくことはありません。

 

前述した、二酸化炭素の温室効果があるからです。

 

 

 

【イラスト】冷え固まるマグマオーシャン
 
 
 
硬い岩石になっていった イメージギャラリーで見る

 

 

じつは、水は宇宙からやってきた

 

地球に海ができるための条件は、

着々と整ってきています。

 

しかし、海においてもっとも肝心なものは、

いうまでもなく「水」です。

 

 

現在、太陽系の惑星の中で

液体の水の存在が知られているのは

地球だけですが、

 

なぜ地球だけが「水の惑星」たりえたのでしょうか。

地球の水は、

いったいどのようにしてできたのでしょうか。

 

実は、水は宇宙からやってきたのです。

 

地球が大量の隕石の衝突によって

できたことは述べましたが、

 

それらの隕石をつくる岩石や

鉱物の中に水が含まれていたのです。

 

正確には「H₂O」ではなく

「OH」というかたちで含まれていて、

 

岩石や鉱物が分解したときに、

水として放出されました。

 

 

このように、

水のもとになる物質や、

有機物などを含む隕石を

炭素質隕石と呼んでいます。

 

 

 

【写真】炭素質隕石
 
 
(炭素質コンドライト) 

 

 

前述したように水星、金星、地球、

火星は岩石型惑星(地球型惑星)に

分類されることがありますが、

 

これらの惑星はすべて、

炭素質隕石の集積によってできたと

考えられています。

 

したがって地球だけではなく

水星、金星、火星にも、

液体の水があってもおかしくないのです。

 

 

では、なぜ地球にだけ水があるのでしょうか。

 

 

 

 

太陽から“ほどよい”距離

「ハビタブルゾーン」に

存在した幸運

 
 
 

その理由は太陽からの距離にあります。

まず水星はあまりに太陽に近いため

表面の温度が高すぎ、

水は蒸発して水蒸気になります。

 

しかもその半径が小さいため、

水蒸気などの大気を引力で

とどめておくことができず、

すべて逃げ去ってしまったのです。

 

 

次に金星は、

水星よりは外側の軌道にあって半径も

水星よりは大きいものの、

 

やはり太陽の熱が強烈なうえに

大量の二酸化炭素が大気をつくっていて、

 

その圧力は約95気圧、

表面温度は約460℃といわれています。

 

やはり、

水は液体の状態ではとうてい存在しえないでしょう。

 

 

ところが、

地球のひとつ外側の軌道を回っている火星になると、

 

今度は太陽から遠すぎて

表面温度が低くなりすぎるのです。

 

水はあったとしても、

氷の状態でしか存在できないでしょう。

 

火星探査機で見た表面地形から、

過去には火星にも豊富な水が

あったと考えられていますが、

 

 

現在は少なくとも地表にはまったくみられません。

 

 

 

【イラスト・表】太陽系と地球・金星・火星の環境の比較

 

太陽系と、地球・金星・火星の環境の比較

 

 

太陽系の第3惑星である地球だけが、

太陽からほどよい距離に存在しているために

水が液体の状態で存在しえたのです。

 

このような領域のことを

ハビタブルゾーン」と呼んでいます。

 

 

さあ、いよいよ海ができるための

準備はできました。

あとは一気に、水を満たすだけです。

 

 

     

続いては、いよいよ水の惑星・地球の誕生です。

 

最初の海を成した凄まじい雨、

そしてその後に広がる大海原。

 

しかし、

その中身はとんでもない成分だったのです。

 

 

海はどうしてできたのか――壮大なスケールの地球進化史 

 

 

 

 

【書影】海はどうしてできるのか

 

 

地球に強くなる三部作! 

川の面白さは、

家で地形図を広げて眺めているだけで、

 

「なぜこんな姿をしているんだ?」

という謎が次々に浮かんでくるところにあります。

 

一筋の流れにひそむ、

地球のマジックの謎解き、

そひて数々のドラマチックな物語を追います。

 

 

<fieldset>
 
 
 
 
【書影】川はどうしてできたのか
 
 
 
 
 
【書影】山はどうしてできるのか
</fieldset>
<fieldset>

 

 

地球史、

およそ46億年という

長い時間を感覚的にとらえるために、

 

「地球カレンダー」という物差しを

使って記述しています。

 

これは46億年を「1年」に置き換えて、

各年代を「日付」で表したものです。

 

 

46億年を「1年」と換算すると

 

  • 1ヵ月…………約3億8000万年
  • 1週間…………約8800万年
  • 1日……………約1260万年
  • 1時間…………約53万年
  • 1分……………約8800年
  • 1秒……………約146年
 

なお、年代測定の精度その他の事情によって、

研究者の間で必ずしも一致しているわけではなく、

また新たな知見により変動が生じることもあります。

</fieldset>